2009年08月02日

**ジュブナイルの復権〈サマーウォーズ〉**

 つーことで、夏休みも終わりましたので感想文提出。

 あのう、たぶんこの調子だと、細田守氏の映画はこの先ずーっと見続けることになりそうだな。なんか感性が合いそうです(笑。

 あっ、いま〈時をかける少女〉を再生しつつコレ書いてるんだけど、やっぱ、〈時かけ〉もサイコーですね。ちょっと転ぶときつくなりそうだけどギリギリ。〈サマーウォーズ〉と比較すると、キャラデザインは貞本さんで一緒(つーかエヴァと一緒なんだよな。アニメーターでコレだけ変わるんだ。)、美術は変わっちゃったけど、結局監督の演出がツボってことで。

 〈時かけ〉って今40前後のヒトなら、間違いなく20数年前の〈原田知世版時かけ〉をまず第一に思い出すことでしょう。そんな話をしていたらボクの中学時代の友人(今は映画に疎いヒト)も大林宣彦版を思い出しましたよ。ひょっとして、かなーりひねたヒトなら〈中本奈奈版時かけ〉を押すのかもしれません。僕も観てみたいのだけど、レンタル屋見回してもないのでまだ見てません。いずれにせよ、両者とも、角川春樹氏が関わっています。前者ではプロデューサーとして、後者では監督として。この角川春樹ってヒトは、それ以外にも〈ねらわれた学園〉をプロデュースしていたりするのですよね。日本のジュブナイルの映像化には、NHKとそれに続く角川春樹事務所が引っ張ってきたんですねえ。あっいかん、つい観込んじまったよ〈時かけ〉。

 当時、薬師丸・原田・渡辺(多分渡辺は3人娘のという語呂合わせのために採用されたんじゃないかと邪推するが)という十台半ばの小娘たちを事務所は持ち駒としていました。そのなかで、はたからみても原田は一押しだったように思います。角川春樹氏が、なんでこんなにジュブナイルを映像化したのかっていうのは、もちろん当時の角川書店が中学生高校生をターゲットにしていたということもあるのでしょう。が、ココからは勝手な妄想なんですけど、春樹氏の亡くなった妹を引きずっていたのかもしれませんね。角川一族の血に関わる話はココココが詳しいです。これを読むと、keiteeのこわれ具合もさもありなんと納得できると思います。

 でなんの話だっけ?そう〈サマーウォーズ〉の話をしなきゃ。

 〈サマーウォーズ〉の製作は、悪名高い製作委員会方式とは呼ばせない、PARTNERSと呼ぶジョイントベンダーからなっています。挙げていくと、角川書店・D.N.パートナーズ・ワーナーブラザーズ映画・読売テレビ放送・バップということです。あれ?ここでも角川だよ。また戻っちゃうけど、〈アニメ時かけ〉も角川なのよね。なんだかんだいっても歴彦氏も春樹氏と同じくらい引きずっているのかもですね?

 〈サマーウォーズ〉の宣伝戦略は、ネット等で流れた予告編を観る限り、陣内家という大家族に紛れ込んだ小磯健二クンの話という風な感じで流れていたように思います。あっ、小磯健二クンにあてたのは神木降之介クンね。これを見る限りにおいては、あくまで主役は少年で、少年と陣内家の面々が世界を救う風な味付けであったようです。いかにもジュブナイルぐじゅぐじゅの前作との差を強調したかのようです。実際、前作との差は大きいですね。それこそ主役が少女から少年に代わるだけでも、この辺のアニメでは具体的なターゲットとなる観客層が変わってきます。一方で、レンタルビデオ屋という特殊なエリアでは冒頭の9分間をそのまま見せるという〈ドーン・オブ・ザ・デッド〉のような方法をとり、レンタルビデオ屋を徘徊する層の取り込みを掛けています。これは〈マトリックス〉や〈攻殻〉を好む層の取り込みとしか思えません。なにせ、冒頭はOZの中の話が中心ですから。ちなみにOZをSECONDLIFEと例えたヒョ−ロンカ先生もいらっしゃっいましたが、どちらかというとOZはネットそのものですから。サーバーの一つ二つを落とせば消えてなくなるSECONDLIFEとはその規模が違いますOZ。どちらにせよ、幅広い層を取り込もうとい並々ならぬ意思は感じます。やっぱ最初単館上映だった〈時かけ〉の轍は踏めないということなんでしょうねえ。

 で、観た感じはというと主役はどーみても陣内家16台当主陣内栄ばーちゃんなのですね。たとえアレだけ様々な年齢層の人物がいたとしても、芯に座っているのはばーちゃん。いくら自衛隊所属の理一が気張って状況マニアを喜ばせようとも、KingKazumaが格ゲー頑張りーの谷村美月でオタを喜ばせようとも、芯に居るのはやっぱり栄ばーちゃんなのです。まあギャグも相当なんで、笑って流せるかもしれんけど。やっぱ、ばーちゃん(ボクばーちゃん萌えなヒトでもありません)。

 表の主役はさっきも言ったとおり、神木クンのあてた小磯健二クンとその先輩にして栄ばーちゃんの孫篠原夏希。あてたのは桜庭ななみサン。この2人の、憧れやらなんやらのこそばゆい話で進んでいくかと思えばそうでもありません。つーか篠原夏希は叔父の侘助にベクトルが行ってますしね。そういう意味でじゅぶじゅぶでは決してありません。最後の最後でじゅぶじゅぶな結末が待っていますけど、まあそこは節制がギリギリ効いてますから。寸止めルールを適用した監督に感謝です。

 なにが嫌って例えばの話、今この歳で〈原田版時かけ〉を観に行けますかってことなんです。実写はいかんでしょう実写はもう。役者がずぶずぶのジュブナイルを演じようものなら、そこには肉体が歴然として映し出されるわけで。いやもうそれはサブイボものでして。実際耐えられないと思います。例えの例えで申し訳ありませんが、神木隆之介クンと桜庭ななみサンが実写で演じたとして、神木クンなら演じきるだろうけど、それでもフィジカルな香りが立ち上ってくるには想像にがたくない訳で。なにも二次元萌えなヒトというわけではありませんが、いくら監督がいやらしさギリギリの寸止めをしようと、肉体は雄弁ですから。フィジカルはセクシャルに必ず繋がっていくと思います。そういう意味でジュブナイルという分野は、二次に限ると思うのはうがった見方でしょうか?そして、その二次元でさえも、抑揚の効いた演出を心がける細木守監督は期待のジュブナイルの旗手といってもいいのではないでしょうか。

 この手の話は嫌いではなく、というか結構好きだったりする者ですが、サブイボ立ててまで観るほどの根性もないので、まあこのくらいの按配でどうぞヨロシクお願いしたいもんでありますぞよ。次はわからんかもしれないけどネ。

 ところで、最近はジュブナイルはライトノベルとほぼ同義語として扱われているらしいですね。最近知りました。さてさて、2作目でいきなり私小説まがいの作品書いたせいで次の作品が進まないラノベの先生にもぜひ観ていただいて、感想をお聞かせ願いたいものです。


posted by 森と海 at 21:26 | Comment(5) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
お久しぶりでございます。ばーちゃんが主役に同感です。登場人物を振り返ろうとするとまっさきに頭に浮かぶのがばーちゃん。健二と夏希はなぜだか後まわし。

『時かけ』よりも本作のほうが好きと感じたのは、『時かけ』のほうがジュブナイルだったせいかもしれないと、このエントリを読んで改めて思いました。たしかに、もういまさらじゅぶじゅぶな実写映画は観てるこっちが寒くなるので観られませんが、でも『時かけ』は寒くならなかったので、不思議と抑制の効いた二次元ならいけるかもしれません。また、大家族の絆も実写でヘタにやると寒くなりがちですよね。
Posted by 春巻@rivarisaia at 2009年08月03日 17:33
お久しぶりです。さっきお邪魔してコメ欄汚してきました(失礼。
<時かけ>で痒い人でも本作なら大丈夫でしょう。憧れの先輩依頼のバイトとか衛星落としとか、「なんだかなあ」という緩さも感じられますが、「それを言っちゃあお終めーよ」という感じで許容できますもの。
大家族を役者でやると、どーしても役者が目立とうと演技過剰になりがち(渡る世間とか言ってませんよ)なので、淡々としたテイストに監督が押さえ切れるのか?反対に淡々としすぎて、新進邦画の一番駄目な点である無味乾燥となってしまうのか?塩梅が難しいですね。
Posted by 森と海 at 2009年08月03日 20:54
おいらも観てきましたよ〜。
まあ『トキカケ』(カタカナ読みらしい、旧作との差別化?)はねー、じゅぶですわね。
今回はああ、庵野よか、金曜ロードショーで安心してかけれるなあって(笑)
出来も悪くないし、とりあえず宮さん後継レース(あるのかそんなもん?)と考えれば、
角川と共にカネを出した日テレ的にはOKじゃないかと。
Posted by tonbori at 2009年08月03日 23:07
宮崎さんがどんどん失速しているのに対して、こちらは映画として勢いがありましたね。素直に楽しめました。
Posted by samurai-kyousuke at 2009年08月04日 08:54
>tonboriサマ
なんか棘がある(笑。
<トキカケ>もそうなんですけど、基本、安心して一家団欒の場に流せる話ですよね。しかも、今回は大家族とすることで、全世代に目配せしているし。オタでなかろうと、笑えるネタも織り交ぜているし。これで、前作よりヒットしなかったら、監督悩むでしょうね。

>samurai-kyousukeサマ
ジブリ物はある頃から観てないので、比較する方法を持ち合わせていません。もっというと「DVD待ちでいいや」というスタンスでしたから、劇場でアニメを観るなんてン十年ぶりです。だからエラソーなことはいえないのです。
Posted by 森と海 at 2009年08月04日 21:09
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