2006年02月12日

**なんだか絶妙に微妙〈 ライフ・アクアティック 〉**

 感想・・・微妙。

 作品の出来を言ってるわけではない。作品自体は◎の出来。そのすべてがギリギリのところでバランスを取っていて、 わざとらしく沸騰しない絶妙なさじ加減。

 

 物語は、海洋学者にして記録映画作家スティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ) とその仲間たちの山あり谷ありの冒険記録の体裁を取っている。海洋学者で作家って、ちょうどジャック・クストーのようなものか?ズィスーは、 前回の航海で右腕を失い、ヒット作には恵まれず、資金調達にも暗雲が垂れこめ、女房のエレノア(アンジェリカ・ヒューストン) には三行半を叩きつけられる。そんな”人生のたそがれの時期”に、突然現れたネッド(オーウェン・ウィルソン)は、”たぶん” 息子だと名乗る。動転するズィスーは、前回の旅のリベンジを決意し、彼を”チーム・ズィスー”に招きいれる。

 これだけの話だけでも、怪しさ満点だが、まだまだあるぞ(笑)。そのチームには異常なほどズィスー信奉者であるクラウス(ウィレム・ デフォー)がいたり、エレノアの前夫にしてズィスーの元ルームメイトの海洋学者へネシー(ジェフ・ゴールドブラム:また科学者役(プッ)や、 海洋雑誌の編集者ジェーン(ケイト・ウインスレット)が絡んでくる。またこの世界の海には、リベンジ対象の憎き”ジャグワー・シャーク”や、 その姿も美しい”クレヨン・タツノヲトシゴ”や”蛍光・フエダイ”など、我々の知らない生物が生息している。

 言ってしまえばすべては作り物。ホンモノは人物の感情の起伏のみであるが、その感情さえも、 散りばめられたくすぐりはあるにせよ、淡々としていて爆発的発露にはほど遠い。 「感情を揺さぶってやろう」と虎視眈々と感情の根っこに掴みかかってくる作品群とは一線を画す。 どこをとっても絶妙なバランス感覚に裏打ちされた節制の効いた展開は、ふと気づくとすでに逃れられない仕掛けだ。「なんだ?なんだ?」 と戸惑っているうちにね。なんだか既視感に襲われる。〈 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ〉に手触りが似てるなーって。聞けば両方とも、 監督ウェス・アンダーソンの作品という。納得!

 が、その〈 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ〉は作り込みが鼻についてしまって、どうにももう1度という気にはさせてくれなかった。 シツコイんだもの。その点、こっちは程よく抑制されていて、しかもラストには程よく爽快感すらある。やっぱりビル・ マーレイが主役だとこうも変わるのかということも実感させてくれた。自己中心的で、 投げやりで、でもどこか温かいというキャラクターは、ビル・ マーレイの存在があってこそ。ほかの人じゃダメだよね。

 

posted by 森と海 at 21:10 | Comment(4) | TrackBack(0) | Movie(米)
この記事へのコメント
なんだか掴みどころの無い映画でしたねぇ〜。
船の縦割りのセットが昔のドリフのコントみたいで爆笑でした。ビル・マーレーがいきなり拳銃撃ちまくって大活躍する場面とか、デフォー君の愛すべきキャラはツボでしたねぇ〜。
Posted by samurai-kyousuke at 2006年02月13日 19:25
>samurai-kyousukeサマ
久しぶりに、ホメ言葉も罵倒の言葉も失ってしまい、書きながら何をどうしてよいやら分からなくなった映画でした。そこから苦し紛れに出てきた言葉が”微妙”。で、今更ながら思いついたのが”微熱映画”。そうだ、これだった!
Posted by 森と海 at 2006年02月13日 20:51
エントリからはずれるけどその名も『微熱少年』って映画ありやしたな。松本隆氏の(^^;
Posted by tonbori at 2006年02月13日 23:33
>tonbori堂サマ
あれはたしか、異業種映画監督参入の相次いだころ。でしたよね?桜子とか桑田とか。違いましたっけ?
結局のところ武しか見ていなくて、結局のところ正解だったような気がします。
Posted by 森と海 at 2006年02月14日 23:50
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