2009年11月07日

**今更ながら〈TAKESHIS'〉を観たが・・・**

良かったですよ。よくぞこの頃の自殺願望を昇華してくれました。

この作品を撮影しなかったら、北野武さんまた原付で特攻したかもしれませんね。

よくぞ生きててくれました。

解釈が結構難しいようなことを公開当時言われてましたけど、まあざっくり言って、〈マルホランド・ドライブ〉と同じく夢落ちですね。だもんで、脚本が云々等は無しです。

ただし最初からそのように構築して撮ったようには思えません。どちらかというと、撮りたいだけ撮ってそれを後からこじつけた感じが致します。はっきり言えば病的です。統合失調症っぽいです。

もちろん今だから言えることなんですが・・・。いつだったか?〈アキレスと亀〉のとき?〈監督・ばんざい!〉のとき・よく覚えてませんが監督作のパブリシティ

のときかな、「〈TAKESHIS'〉の撮影は自分が一番沈んだ最低のときに制作した映画だ」(調べたらモスクワ映画祭での談話ですね)と語っています。その談話を聞いた上で、上記のような監督の精神的危機を感じ取った訳です。

作品中、象徴的キャラクターが何人か登場します。

岸本加世子さん演じる、どの世界のたけしに対しても敵意むき出しで足を引っ張り続ける人物。このヒトはひょっとして、日本の評論家連中を象徴しているのではないでしょうか?いくら海外で評価されても、重箱の隅をつつくように揚げ足を取ってくる評論家連中を。そんな気がします。でも岸本さんは最終的に撃たれないんですよ。武さんなら評論家ぐらいさっさと終わらしちゃうでしょうから、ひょっとすると、五月蝿いけど決して排除できないという意味では家族の存在かもしれません。ちょっと分からない。

松村邦洋と内山信二演じるデブ2人。たけしに何の影響も与えないのにどこにいっても周りにいるという立ち位置は、・・・軍団でしょ。実在の武にとって目の黒いうちは食わせてやらねばならない弟子達。ようやく自分たちは食えるようになった長兄たるタカさんやダンカンさんが、本来弟弟子達を食わせることが出来れば、ビートたけし師匠も楽できるのでしょうが、いまだたけし師匠自身が庇護せねばならないという重圧。もうたけしさんも何十年もやれませんからね。最後のほうで、松村・内山の2人が後ろから撃たれるというのは、自らは切れないけど誰かに撃たれてほしいという暗い願望にさえ見えます。

やたらと金を巻き上げることしかしない大杉漣。これは自分ではクリエイトすることなく(気楽なタクシー運ちゃんと劇中で語る)、束縛し金だけは持っていく・・・、事務所なんでしょうね。森さんか?www。

京野ことみと寺島進のアベック。てんで好き勝手なことばかり言って、そのうえ京野ことみにいたっては、たけしに急接近してきたあげく最後には寺島の元に戻るという当てにならないいい加減さ。これはwww、我々一般大衆ではないですか?ボクなんか、〈菊次郎の夏〉を劇場で観るほどだったのに本作は今頃DVD。まさに京野ことみ状態。いやあ、たけしさんにとっては興行成績を見ると、ファンなんか当てにならないと常々思っているんでしょうなあ。

あとは三輪明宏さんとかいらっしゃるんですが、これは業界の同業者を象徴されているんでしょう。あまり自信なし。

そして、売れているたけしとエキストラのたけし。微妙に交差しつつも決して重なることのない2人。その2人が交わるとき、それがたけしがたけしを刺す場面。自殺願望でしょ、これ。よかったよ、こういう衝動が映像として昇華されて。もし映画が撮れない状況だったら、どっかに吹っ飛んでたんじゃないの?

デヴィット・リンチは正真正銘の既知外だけど、自らコントロール出来る既知外。だから、〈ストレート・ストーリー〉のような極めてストレートな作品も撮れる(あれはストレートすぎるでしょ)。北野武さんは、ときおりトンでもなく既知外染みた作品をこさえることがある(つーかそれのほうが多いかwww)。統制できなくなるんでしょうな。

という訳で、京野ことみの意外に黒いビーチクを拝める〈TAKESHIS'〉は必見です。←結局ソレかい!

posted by 森と海 at 20:46 | Comment(2) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
前半から鋭い分析が続き、アレにばかり触れている巷のブログとは違って、さすが森と海さん!このままアレに触れなければ完璧!と思ってましたら、最後はやはり触れてしまいましたか(笑)
Posted by micchii at 2009年11月10日 15:48
>micchiiサマ
いやあ、やっぱりね、芸人のたけしさんが大真面目に撮っているというなら書くべきじゃありませんが、そこそこネタ仕込んでいることですし、・・・やっぱりオチはつけとかないとね(笑。
Posted by 森と海 at 2009年11月10日 22:33
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