2009年11月25日

**〈アキレスと亀〉アイタ・タ・タ・タ・タ**

ダメだこりゃ。参っちゃうよな〜。

特別観られないものでもないのです。それなりにちゃんとしているし。

あえて言えば、真知寿の少年時代と青年時代は普通に面白い。それにしても青年期の真知寿を演じた柳憂怜はいつの間にかいい役者になったねえ。名前のごとく地に足の着かない男を演じさせたら当代随一ですね。それに比べて中年期の真知寿が、ちょっと喋りすぎで五月蝿いかな。まあ、どんなに寡黙な男だって歳食ってくると厚かましくなるっていうからいいのかな?

テーマがね、なんともニッチ。基本的にヒットしなくてもいいというスタンスで撮った作品ではないでしょうか。まんま「芸術」が主題ですから。作品中に登場する北野武画伯の絵画は、一般大衆には屁みたいな絵にしか写りませんけど、芸大生とか好きで調べている筋あたりにはバカ受けではないでしょうか?

ワタクシ、芸術全般について疎いですからインターネッツでいろいろ調べてみましたよ。そうすると出るは出るは現代アートの巨匠達。バチモンの絵の元ネタが。

劇中に台詞で示されたモンドリアン(積み木みたいな絵)やクレー(真っ黒に顔)やミロ(黒猫)やフンデルトヴァッサー(吊るされた男)、新聞の記事に出ていたバスキア(シャッター)だけでなく、それとは言っていないが誰でもわかるウォーホール(美空ひばり・横山ノック・鯨缶)やリキテンシュタイン(島村ジョー)やら、ラウシェンバーグ(結婚写真のコラージュ)やジャスパー・ジョーンズ(シロサイ・錆びたコーラ缶?)といろいろ出てきますな(一部自信なし)。

まあ、好奇心を煽ること煽ること。芸術を志す極少数の方々には、こそばいところに手が当たる作品ではないでしょうか?しかしながら上で申しましたとおり、ワタクシを含めて極一般的な大衆には、ふざけているとしか見えないものですから、まああちこちで糞だつまらんの大合唱。監督曰く「アレは入んなかったなあwww」なのは、致し方ないのではないでしょうか。結果が見えてて撮ったんでしょうけど。

最初から当たらないと分かっている作品をあえて撮ることは、基本的に斜陽産業と化している邦画界では普通無理。企画段階で誰も金出しませんよ。ただ極めて特殊な製作環境を整えてきた北野さんだけの特権です。北野さんは、テレビで稼いで貯めこんで、映画製作目的でオフィス北野をつくって、売れようが売れまいが映画製作を続けられる環境を自ら整えてきたんですね。この作品は製作委員会方式をとっているようですけど、普通なら金集まらないはずなんですけどどこかにマジックがあるのでしょうか?

くしくも劇中にこんな台詞があります。

先生 芸術というのは
天才と それを理解するタニマチがいて
世に知られるということですからね
天才でもそれを
理解してくれる人がいないと
社長みたいな人がいないとダメなんですよ −伊武雅刀演じる画商の台詞

才能があったって 売れる売れないは別もんだからな
あんたたち 芸術なんて言ってるけど
アフリカ行って
飢えて死にそうな人の前に
ピカソとおにぎり置いてごらん
誰だって おにぎり取るだろう
人間 飢えてりゃ 芸術なんて関係ないんだよ −大竹まこと演じるおでんやの親父の台詞

この2つの台詞を踏まえて、DVDに収録された監督インタビューの通り「芸術っていうのは続けることに意味があるんだ」というメッセージらしいのです。しかしながら前2作品を続けざまに観ちまうとですね、どうしても芸術を映画と置き換えちまいたくなるワタクシがいました。ダウンタウン松本氏にも「10本は撮れ」って言ってましたしね。

posted by 森と海 at 19:57 | Comment(2) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
ボクは美術なんてド素人なんで、結構楽しく観た記憶がありますが、ダメでしたか・・・(劇場ではなく、シッカリDVDで、ですが・・・)
北野武は抽象的な方に走り出してから観なくなったと思います。
この映画は「美術史」をやりたかったのではないか、という見解を見たことがあります。ただパチモンでつづられてもね。
ただ、抽象的な世界から現実的な世界に帰って来るには必要な「作業」だったんでしょうね。そう好意的にみてあげましょう。さっき次回作を語っていましたが、今度は久々に暴力映画だそうです。だから、次回に期待しましょう。
Posted by よしぼう at 2009年11月26日 06:13
>よしぼうサマ 初めましてですよね。
ダメって訳ではなくて、むしろ良いと思います。が、DVDを一時停止させて、ググるような手間の掛かることをしないと、その面白みも分からないというのはどうかと思います。そういう意味でも間口が狭いなあと。ギャグもその元ネタが分からないと笑えないのですから、昔からやってること変わりませんね(ex.オッペンハイマー)。
さあ、次は久しぶりの暴力映画だ!
Posted by 森と海 at 2009年11月26日 19:24
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