2006年03月26日

**不快指数85%の朝 〈 悪魔のいけにえ 〉3/28追記**

 先般、マスター・オブ・ホラー宣伝の為来日した、トビー・フーパーの話が雑誌等に掲載されてている。そのときの話の中で、 三池崇史がリスペクトしまくってる様子まで伝えられている。そう云われてみれば、かの〈 オーディション 〉 を思い出してみてもなるほど頷ける話である。全然違うのだけど、何かか似ている。

 という訳で、何処探したってDVDの売ってない〈 悪魔のいけにえ 〉をツタヤレンタルで発見したんで、今日のお題はこれ!

 

 国内販売は、もう遥か昔、DVD販売黎明期のころカルチャア・パブリッシャーズよりリリースされている。あっ、だからカルチャア・ コンビニエンス・クラブにはちゃんとあるんだ。昨年、リマスター版発売の報もあったが、蓋を開けてみれば特典映像単体だけが発売される始末。 たのみこむでも凄いことになっているのだが、 どうやらアメリカでは9月に発売されるという情報も入った。さてさて国内はどうなることやら?

 内容は、例え観てなくても皆うすうす気づいている通り、「テキサスに狂人一家がいましたとさ。終」で必要かつ充分。 ちょこっと付け加えるなら「若者5名が遭遇、内1名生還」でよいのでは。このご時世となっては、怖いと一括りには出来なくなってきているが (悪趣味だが笑ってしまいそうになる部分もちらほら)、 それでもホラー界のニューシネマだけのことはあり、今観ても(怖いという意味とは別の部分で) ショッキングな場面もある。

 

 夏の寝苦しい夜、まどろみつつも寝付けなくて何度も何度も寝返りを打つ夜。それでも少しづつではあるが気温は下がってゆき、 ちょうど夜明け前の頃、その日の最低気温となる。「嗚呼、少し寝られる」と遠い意識の中で安堵を漏らすうち、再び太陽は登り始め、 それと同じくして再び日差しはすべてのものを暖め始める。ほんのひと時ウトウトしただけで、 夏の日の暑さはじんわり体に絡み付いてきはじめる。何をする気力も湧かないけだるい朝

 

 かなーり久しぶりに観たのだけれど、その内包する熱量はいささかも衰えていなかった。かなり暑い。うだるような暑さ。 画面から流れ出てくる肌に絡みつくような空気感は、体力を消耗する。映画の最初の部分、事が始まる前からご登場の若者5人、 特に車椅子のフランクリンは「暑い、暑い」と連発する。この暑さが正常な分別を狂わせていくことを予見するかのごとく。戸外だけではない。 今やホラーの定番となった乱雑に散らかった殺人鬼の部屋の空気は、ほこりっぽく、重く澱んで、しかも暑い。 狂気のデパートと呼ばれるエド・ゲインの実際の部屋も、 足の踏み場も無い程人体パーツで散らかっていたらしいから、そこはトビー・ フーパーらの創作というより元ネタを忠実に再現しましたってことだろう。が、それにしても、不快である。

 1人だけ生き残る若者がいる。それがフランクリンの姉サリーだ。狂気の晩餐を何とかやり過ごしたサリーが、 建物の外に逃げると夏の短い夜は終わりを告げている。通常、狂気は夜の闇と共にやって来て、朝を迎えると闇と共に去っていく。が、 ここでは終わりにはならない。彼女の後ろにはチェーンソーのけたたましい音が迫る。まだまだ終わりではない。 この狂気は闇と共に訪れたものではなく、夏の不快な暑さに連れられた狂気なのだ。 トラックの荷台に乗って一命を拾ったサリーはけたたましく笑う。笑うしかない。彼女には安堵する気力も、怯えるだけの力も残っていないのだ。 レザー・フェイスは自傷したにも関わらず、グングン上昇してくる気温のようにより激しくダンスする。もううんざりなんだよ、 けだるい朝

IKENIE-0

 

 三池崇史の 〈オーディション 〉は、薄ら寒くそして湿度が高い。じっとりとした濃密な寒さ。三池崇史のリスペクトというのは、 ここいら辺からも確認できる。方向は全く反対なのだけれど、2人とも狂気を描き出す媒介として、 目には見えない空気を見せることに懸命である(なんだか変なこと言ってるなあ)。端的に言って空気感とか呼ばれるものに、 不穏さをインプラントしている。〈 オーディション 〉ホラー界のルネッサンスだからね(笑)。

 

 あとがきとして。
 実はオーストラリアFORCE ENTERTAINMENTがリマスター版の発売をしている。9月発売の北米盤も、マスターはそれだろう。 yesasiaにそれらしいブツがあるのだけれど、掲示してあるジャケットが違うのだよ。特攻すべきだろうか?

 

 あのね、最初の部分、若者5人のワゴン車内でやたらと耳につく台詞があるんだ。女の子がやたらと占星術を気にするんだが、普通「astrology」とか「horoscope」という単語が聞こえてくるはずなんだ。しかし連呼される単語は「zodiac(黄道十二宮)」。丸に十の字がトレードマーク。いきなり見ず知らずの男に理由も無く蹂躙される事件って、リトル・エディよりこっちの方が近いんだよなあ。
posted by 森と海 at 22:52 | Comment(4) | TrackBack(0) | Movie(米)
この記事へのコメント
ねっとりからみつく澱んだ空気。暑苦しい湿気が画面から滲み出るというそういうのは確かにあると思う。他のショッカー系ホラーはそこをどうするかに腐心しているのを見ればなるほど納得やねえと。
あと南部(サウスアメリカ)とレッドネックあたりのこともかなり影響アリかなと睨んでいるけれど。
Posted by tonbori at 2006年03月26日 23:50
同じもの借りるな〜(爆藁)。
その気怠い熱さというのなら、それがディープサウスって感じなんですが、私には。
Posted by acoyo at 2006年03月28日 01:41
>tonboriサマ
暑さ=狂気ていう言い回しは、半分BLOG用の強引なネタですから(笑)。赤首については本文中にもある通りニュー・シネマなんで同意いたします。
>acoサマ
どこがカルトやねん(笑)?バリバリのメジャーやんか。カルトムービーって奴はなあ、〈 ピンク・フラミンゴ 〉とか〈 セシル・B・ディメンテッド 〉とか〈 シリアル・ママ 〉のような作品を言うんだぞぅ。
Posted by 森と海 at 2006年03月28日 22:13
カルトと書いたのは、他の分だい。J・ウォーターズどころか、単に「まったく売れなかった」作品の群れ(藁)。
でもなあ、「カルト」でググってみ。私も驚いたが、ウィキペディアでも「カルト・ムービー」サイトでも、フーパーもロメロもカルトなのさ。べっくし。次のネタだな、これは。
Posted by acoyo at 2006年03月29日 10:47
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