2006年04月02日

**〈 野獣の青春 〉に変なとこみっけ**

 どもども、4月の声を聞いたというのに、未だに前年度の仕事を引きずっておりますです、ハイ。

 最近になってようやく、清順さん日活時代のDVDをレンタルで見つけて、集中的に観ております。 今まで観る機会がなかった作品も多いですから。そんな中から取り上げるのは、1663年〈 野獣の青春 〉であります。

 

 原作は、〈 探偵事務所23 くたばれ悪党ども 〉と同じく大藪春彦。くしくも同じ年に封切られていますなあ。 しかし同じ大藪原作でも、村川透−松田優作コンビの作品あたりと比べると、鈴木清順−宍戸錠コンビはどこかコミカル。

 元警官のムショがえりのジョー(宍戸錠)が、殺された同僚の復讐を果たすべく、2つの対立する暴力団(野本組・三光組) の間を立ち回って真相を探ってゆくストーリー。見方によっては、黒澤の〈 用心棒 〉風ではある。事実、前半は正にそう。 奇跡的に上手く立ち回って対立の火種を起こそうとしていて、なんとも痛快。大藪さんのヒーロー像って、 ニヒルで頭がキレて体もキレているというのが定番だから、原作読んでないにも関わらず、頷けるものがある。ただしダークヒーローであって、 宿場から悪人を一掃するというような崇高な精神はないから、平気でそこに関わる情婦だの慕ってくるチンピラだのは見殺しにする。 それで良しなの、ダークヒーローって奴は、人を利用するだけ利用すればいいのだ。

 なんだかこう書いてるとハードボイルドな感じだが、そこはそれジョーですから、元刑事ということがバレてサドの野本組組長 (小林昭二)に拷問されるとすぐ泣きを入れたりしていて微笑ましい。凄惨な暴力描写などもないし。

 さて、変なとこの件ですが、大筋は日活アクションから逸脱していないが、細かいところは相当変。
 まずは、 野本組の経営するキャバレーの造り。店の中が見渡せるマジックミラー張りの半地下の事務所。しかも防音設備装備。 店の中よりこの事務所のほうが広いんじゃないか?っていうくらいだだ広い。この防音の事務所でいったい何やんのよ(笑)。 今ならさしずめVIPルーム。ここに重要な客をホステスと共に招いて・・・。コールガール組織を持つ野本ならやりかねない(笑)。
 次、 その野本と弟秀夫の生い立ち。母親はクロ専門のパンパンって、兄弟とも色白じゃないっすか。・・・ここはこれ以上深く触れない。
 次、 三光組の事務所は映画館のスクリーンの裏。スクリーンの裏って通常はスピーカーが置かれていて相当やかましいのですが・・・? 映画館内に事務所を構えるなら、「濱マイク」のように映写室脇の方が正しい場所。
 次、野本が愛人をベルトでシバく場面。 どうやら東京近郊の設定のようだが、窓の外は黄色い砂塵の嵐。部屋の中は普通なのに窓の外は真っ黄色。ありえない色彩設計。 黄砂でもあんな風に鮮やかな黄色にはならないって。
 次、麻薬取引の場所。多摩川だか荒川だか分からないが河川敷で麻薬取引って、 庶民的過ぎて素晴らしい(笑)。オマケに車と渡し船の交換という手も愛らしすぎる。
 次、 三光組の小野寺組長の爆弾を抱えての特攻によって破壊された野本の屋敷の様子。一応爆発で崩れているが、爆発の割にしっかり残っているし、 その割に生き残るのはジョーと野本のみ。この方が都合がようございます(笑)。

 と、変なとこ・ツッコミどころなど列挙してきたが、ラストは秀逸。詳しくは書かないが怒りやら脱力感やらの伴う終末。寂寥感もたっぷり。 騙されたと思って観て・見てな逸品なのだ。

 

posted by 森と海 at 22:42 | Comment(3) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
小太郎が野獣みたいな仕事したかもー。
森と海はレンタルするはずだった。
Posted by BlogPetの小太郎 at 2006年04月03日 09:19
そういやエースの錠さんは『殺しの烙印』でも組んでいるんだよなあ。一度観ておく必要があるかも?
個人的にはジョウさんといえば「拳銃(コルト)は俺のパスポート」か「やばい事なら銭になる。」(一説にはカリオストロの城のネタモトという話もあがっているというけどホントなんだろうか?)がオススメ
Posted by tonbori at 2006年04月04日 00:54
日活アクションって裕次郎さん物は結構レンタルであるけど、エースの錠はないんだよねー。〈 拳銃(コルト)は俺のパスポート 〉はホント見てみたい。
Posted by 森と海 at 2006年04月06日 00:00
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