2006年04月05日

**〈 東京流れ者 〉について書こうとしたけどヤメタ**

 調子に乗って、鈴木清順監督の日活時代の作品を続けようと思っていた。当時の渡さんて男の目から見ても可愛い。 なんというか小動物のようだ。今では塔が立ったお嬢さん方も,あのクリクリした目にはゾッコンだったのだろう。ヒットするはずだ。 しかしながら、役者の魅力だけでもっているような類のアイドル映画ではないことも事実。21世紀に入った今見ても、 ううんと唸らせる部分がある。そこはそれ、ボクのことだから、「俺の射程は10b、枕木上に赤い線発見。 」的な部分部分で、涙を流しそうになったり・・・(爆)。でも、入れ込むほどではない。これ以上続けたって、 〈 野獣の青春 〉 のエントリーの焼き直しになってくるのは火を見るより明らか。

 と言うことでさっさとヤメにして、今日は「これ好きだーっ」が体の内側から滲み出てくるような傑作〈 殺しの烙印 〉にしちゃうのだ!

 

男前ぇーの殺し屋はー 香水の匂いがしたぁー
  「でっかい指輪をはめてるな」
  「安かねぇんだ」
  「安心しろ。そいつには当てねえよ」
曲がったネクタイをー 気にして死んだぁー

寝ぼけ顔の殺し屋はー 寒そうに震えてたぁー
  「女を抱いてきたのか」
  「当たり気よぅ」
  「湯たんぽを抱きな」
熱い鉛ぃをー 抱いてぇ死んだぁー

 もう、すっごい好き(笑)。大和屋さん自らが歌う「殺しのブルース」を聞くと、 仕事とか人生とかもうどうでもよくなってしまうぐらいシビレる。むかしゃそこまで思わなかったんだけどなあ。脚本は具流八郎の中の人の三人、 大和屋竺・田中陽造・曾根中生が時間軸に沿って、つまりランクNo.1を送り届けて暗殺失敗までぐらいが大和屋さん、 中条美佐子とのめくるめくような幻想的なヒトトキが田中さん、No.1との奇妙な共同生活からラストまでが曾根さんという風に思うのだが、 もちろん全体のトーン調整はしていると思う。それが清順さんと思いたいが、どうも映画全体を包む退廃的な雰囲気は、 大和屋さんが口を挟んでいるようにしか思えない。

 大体、この映画20年早すぎたんだ。早すぎたが為に日活を解雇され、清順さんは10年ほど商業映画から遠ざかってしまった。 その後すぐ、日活は一般映画から撤退、ピンク映画に移行して、今に続く幾多の中堅監督を輩出する。全く皮肉な話だ。それに輪をかけて、 この映画が今では日活のソフト売上のドル箱タイトルとなっていることも皮肉な話だ。さっき20年早いっていった。80年以降の邦画は、 映画産業の斜陽化と共に良く言えば内省的、悪く言えば方向を見失なって訳の分かりにくいものが大流行だった。この頃なら、〈 殺しの烙印 〉 も訳の分からん映画と吊るし上げられることも無かっただろうに。(もっとも、〈 殺しの烙印 〉 が67年にあったからこそ許された表現方法であることは間違いなかろう?!)

 違った意味でも影響は多大。直接的には、大和屋さん構成の初代ルパン三世が挙げられるだろうが、例えばの話、TVドラマ、 お笑いハードボイルドとして名高い〈 探偵物語 〉はどうだ。主題歌こそSHOGUNの歌う「BAD CITY」 はアップテンポでカラリとしていて屈託ないが、一旦テンポを落としハープでメロディをなぞって、感傷的な場面に落とし込むと・・・。 暗い画面にブルースハープがよく似合うじゃないか!(補足:ハープがピッタリなのは、実はエンディングテーマの「LONELY MAN」なんだけどね。)

 さて、「殺しのブルース」の歌詞をよく見てみる。最初に殺されるのはランクNo.4の殺し屋高(大和屋さんだよーん)だ。 近距離で春日(南廣)と相打ちになるのに、上着を脱ぎながら去ろうとする。が、倒れる。息を引き取る間際、上着を顔に掛けて絶命。 えらくキザで粋である。まったくもって男前の殺し屋だ。次に殺されるのはランクNo.2の殺し屋佐倉。火達磨になって(寒かったの?)、 弾を喰らって死ぬ。ラストは、花田(錠)とランクNo.1の殺し屋大類(南原宏治)との鏡に映したかのようなシンメトリーな共同生活の後に、 互いを出し抜こうとして共に倒れる。ううーん、やっぱり全体の構成にもかなり大和屋さんが手を出しているよ。 どうやら清順さんより大和屋さんのほうが、ボクは好みの様に見える。こりゃ、どうでも〈 荒野のダッチワイフ 〉を見なくては!

青い顔の殺し屋はー 見覚えがあったぁー
  「誰だ、どっかで見た顔だ」
  「やるか」
鏡の向こうにぃー 砕けてぇ消えたぁー

 

posted by 森と海 at 23:38 | Comment(3) | TrackBack(1) | Movie(邦)
この記事へのコメント
そりゃーガキの時分にさルパン三世なんかで大和屋さんのいわば洗礼うけているんだもの。そっちのほうがいいのは半ば刷り込まれているのかも知れないってばさ(^^;
Posted by tonbori at 2006年04月06日 23:48
amazon.comでも海外盤が出てるですか。飯の匂いがわかるかな(笑)。
Posted by サンタパパ at 2006年04月09日 09:51
>tonboriサマ
刷り込まれてる刷り込まれてる(笑)。
未だに、チャーリー・コウセイの歌の歌詞を覚えているもの。
>サンタパパさま
パロマがどういう会社か分かんないでしょうね(笑)。それより昆虫の標本に目がいくでしょうね、〈 サイコ 〉みたいだって。
Posted by 森と海 at 2006年04月09日 23:54
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック

殺しの烙印
Excerpt: 「web-tonbori堂ブログ」の「清順先生はお元気である」というエントリーに『殺しの烙印』の話題が出ていたので、それをきっかけに採り上げてみました。プロの殺し屋である花田五郎(宍戸錠)はその世..
Weblog: かたすみの映画小屋
Tracked: 2006-04-09 09:52
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。