2006年04月12日

**〈 バタフライ・エフェクト DC版 〉素早いだろっ**

 と言うことで、ってなにがと言うことなのか全然分からないが、発言どおりディレクターズ・カット版を視聴。 言ったことは必ず実行する『有言実行』の人なのだ、ボクは。

 もういい加減発売して日も経っているんで、チマチマ言葉を選んで注意深く書いたって意味ないだろ。観たい人は、 既に観てるだろうから。

 ネタばれ全開で行かしてもらいやす。あしからず。

 

 で、まずは追加になっている意味ありげなシーンから順を追って披露しようか。

子供時代のエヴァン(アシュトン・カッチャー)が、屋根裏部屋でじいさんの死亡診断書を見つける。死亡場所は精神病院。 ここから、この一族の男は皆、跳ぶ能力を持っていて、 一様にその能力を行使して、病院送りの末路を辿っていることが分かる。この時点では、 エヴァン自身も観客も「いずれは病院送りの運命なのか」ぐらいしか思わないが、後々このシーンは効いて来る。

跳ぶ能力を発現させる前、大学時代のエヴァンが母親とディナーを共にしたその後、占い小屋で手相を占ってもらう。 エヴァンの手相を見た占い師曰く「生命線がない!」と。ショックを受けた母親が外に出て、 「3回流産した後生まれたあなたは奇跡の子よ」と漏らす。エヴァンっていうやつは、 本来生まれてこなかったはずの子だったことが分かる。

一回目の跳躍後、いざこざでトミー(ウイリアム・リー・スコット)を殺害して刑務所に入った後、スティグマータ云々の前に、 ムショお約束の可愛がりが追加。就寝中に拉致されてそのあとは見せないが、・・・掘られたな。 奇跡を見せると少年時代に跳んで掌に傷をつける場面の「凶悪な殺人画」は、 掘られた恨み晴らさずでおくべきかという魔太郎状態で書かれた絵だと。 どっちにしろ、殺人の絵を書くこと自体悪趣味。だってまっとうな大人は書かないよ。

何回目かの跳躍で、コールガールに身をやつしたケイリー(エイミー・スマート)を前に、売春についての話題に際し、 「ボクも経験した!」と話す。・・・やっぱ、掘られたんだ!

大詰め、精神病院で8ミリフィルムを見るエヴァン。映し出された映像は、ケイリーと始めて会った日ではなく、 妊娠中に病院に運ばれる母親。父親の顔も見える。って誰がそんな緊迫した場面で8ミリを回してんだろ?って疑問は置いといて、 胎児のときに戻ったエヴァンは、走馬灯のようにそれまで経験したことを反芻し、ついに結論を出す。自らへその緒を首に巻き、 静かに事切れる。

 監督&脚本コンビのエリック・ブレスとJ・マッキー・グルーバーは言う。この作品は、「自己犠牲と贖罪」をテーマにしていると。 んなこたないだろ?えらくキレイゴトにまとめようとする意図がアリアリだ。公開版を観たって、 主人公の自己中心的かつ思い上がりな精神ばかりが目に付く。 罪を犯せばそれなりの償いは必要だし、それに伴うコウモンの苦痛にも耐えろよ。他人の人生を自分の力で変えられるなんてことは、 思い上がりもはなはだしい。DC版ではより一層、そこいら辺にスポットが当たっている。 第一エヴァンは本来生まれてくるはずのない子であったのを、父親が跳ぶ力で半ば無理やりにこの世に生を受けたことは、 上の内容からも見てとれる。そしてその父親さえも、じいさんの跳ぶ力によって生まれてきたということかもしれない。その代償として、 跳ぶ力を行使したじいさんや父親は病院送りとなっているのだろう。空間と時間を超越した高次の存在 (人によってはそれを神と呼ぶのかもしれない)は、秩序を乱す強力な力を持った一族を根絶やしにしようと画策したが、 ことごとくその特異な力で魔の手(神の手?)をすり抜けこの世に現れた。後手に回った高次の存在は、 その一族のものが力を発現する度に事態を悪い方に悪い方に転がして対処したってところだろうか?えらく壮大かつ地味なハルマゲドンだな(笑) 。当初エヴァン・トレボーンという役名は、クリス・トレボーンであったという。並びを替えれば、クリスト・レボーン(クライスト・リボーン) だと。エリック・ブレスも今となっては映画学生らしいトッポサだと自嘲気味に笑っているが、だとすると『哀れ、神になれなかった男』 というプロットが見えてくる。 神々の権力闘争というのならそれはそれで映画学生のハマリそうなテーマっぽくてニンマリできる。 様々なアイデアを詰め込んだ挙句に、すっきりとまとめたというのならば、そりゃ面白くもなる。次が本当の意味で勝負となるんでしょうな。

 本国アメリカでは受け入れられないと差し替えられたDC版ではあるが、 ハラキリ文化のあるこの日本ではDC版のままでも充分イケルと思うのだが如何だろうか? とりあえず主役を全面的にイイヒトとしていないことからも、DC版のラストは受け入れられると思うし。余談だが、題名の〈 バタフライ・ エフェクト 〉を肯定させる為に随所に蝶をモチーフにしたデザインを盛り込んでいるが、この題名を選んだ理由というのが 「冒頭にカオス理論の一節を記述したらカッコ良いんでないかい?」というこれまた学生っぽい発想が滲み出していることを明記しておく (別に他の題名でも全然構わないんだよ(笑)。

 

posted by 森と海 at 23:19 | Comment(8) | TrackBack(4) | Movie(米)
この記事へのコメント
 だいたい調べた通りとはいえ詳しいネタバレ楽しく読ませていただきました。なるほど〜。
 解説を読むとなおのことチャウ・シンチーの『チャイニーズオデッセイ』に共通するものを感じます(「正しい選択」をするまでリセットされ続けるあたりとか…)。
 「カッコ良いんでないかい?」という発想は単純ですが、あなどれませんよね、笑。『無間道』の涅槃経引用だって、たぶんカッコ良さまずありきだったと思いますし…。
Posted by cardhu at 2006年04月13日 16:30
たしか以前も〈 チャイニーズ・オデッセイ 〉に言及されていたと思いますが、それそんなに面白いの?
だったら、買おうかなあー。TとUのどっちがいい?

「カッコ良いんでないかい?」という感覚は正にボクの意見。もし映画関係者だったら、絶対ボクもやってる(笑)。
Posted by 森と海 at 2006年04月13日 21:52
「1」と「2」は二つで一本の映画なので、続けてみることをおすすめします。
監督がジェフ・ラウで主演がシンチー、西遊記をモチーフにした基本的にくだらないほどのコメディなんですが、泣かされるんですよ!で、テーマを突き詰めていくと『マッスルモンク』並に深いかもしれない…。私の中ではシンチー最高傑作です。
でもいきなり買うのは危険かも…。レンタルで観賞できるならそれに越したことはないと思います(最近は置いてあるレンタル屋さんもあるみたいですし・・・。)
ご覧になったらネタバレありで語りたいですねぇ。
Posted by cardhu at 2006年04月13日 23:58
たしかねー、内の近くのレンタル屋には無かったと思うんだよねー。イナカだし。
ウエイン&ガースも、もっともシンチーらしい作品だといい意味でツッコミまくっているのを見ると、<食神>や<喜劇王>より重要な作品のような気がしてきた(笑)。yesasiaならかなり安いし。
Posted by 森と海 at 2006年04月14日 21:34
「<食神>や」・・・のあとが気になりますが、一応香港盤のDVDだとけっこう安く買えると思います。一応日本語字幕もついてるみたいですし・・・。

シンチーらしさという意味では「どん底からはいあがる」「ヒロインのブスメイク」という部分はない作品ですねぇ、笑。構成の巧みさ・テーマの意外な深さは脚本・監督のジェフ・ラウによるところが大きいと思います。
Posted by cardhu at 2006年04月15日 01:07
<喜劇王>より重要な作品のような気がしてきた(笑)。yesasiaならかなり安いし。

と書いていてログにも残っているのだが表示されない?バグかな。
Posted by 森と海 at 2006年04月15日 08:08
はじめまして、返信TBありがとうございました。
ぼくは、公開版だけで、まだDC版は見ていないのですが、なかなか面白そうですね。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
Posted by David Gilmour at 2006年05月01日 01:15
こちらこそ、コメントありがとうございます(ピンク・フロイドの中の人ですか?)。
本文中にもありますようにネタばれしまくりなんですが、本当にTB返していいものやらちょっと考えてしまいました。
今後ともよろしくです。
Posted by 森と海 at 2006年05月02日 13:24
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