2006年05月16日

**北欧の結束を見たような見ないような・・・〈 エクソシスト ビギニング 〉**

 観たい観たいと思いつつも、公開時は結局見逃し、レンタルVさえもズルズルと見逃し続けていた〈 エクソシスト ビギニング 〉 をようやく確認。こういう映画は、心・技・体の3拍子が揃っている時じゃなきゃ、観ちゃイケナイからね。

 「深淵を覗く時、深淵もこちらを覗いている」 のだから。

 

 ほんで、もう細かいことは云いっこなし。きっちり第一作を意識した脚本に、第一作を意識した俳優陣に大満足。ウィリアム・ピーター・ ブラッティは納得していないだろうけど・・・、小説と映画は別物なのだ。これでいいのだ(by Bakabon's father)。

 映画はいきなり地獄絵図から始まる。なだらかな丘陵地帯を埋め尽くす死体・死体・死体。ひとつだけ動く影がある。 遠征した隊のなかで只一人生き残った神父だ。阿鼻驚嘆の惨状を彷徨い歩くうち、息絶え横たわる一兵士の手の中に、 それを発見する。〈 エクソシスト DC版 〉の冒頭、 年老いたメリン神父が遺跡の土中より拾い上げたあの偶像である。

 いやぁ、上手い導入部だわ。ここまでのカットだけで、第一作との繋がりや只事ではない事態を臭わしてくれる。 作品中でははっきりとは言わないが、語られる年代やら埋没した教会の様式から、 冒頭の全滅した軍団が十字軍と同じ時代の遠征隊であることが分かる。「ちょっと前にえらく流行った十字軍ですよ、おじいちゃん!」。 ネタばれを覚悟でいうが、キリスト教が盛んにイスラームを攻撃していた時代に、 堕天使が地上に堕ちたとされる土地を探索に出た遠征隊に降りかかった尋常ならざる事態の結果が、冒頭で示されているのだ。 バズズに歴史ありなのかもしらん。

 〈 エクソシスト 〉は、ウィリアム・ピーター・ブラッティが、ジョージ・ ワシントン大学在学中に悪魔祓いについてのレポートを手がけた折、メリーランド悪魔憑依事件の存在を知り(Wikipediaより) 、後に書いた小説が元である。小説は必要以上におどろおどろしく書かれているわけではなく、映画同様、 精神医学的見地からの考察を含めた形でまとめられている。言うなればダミアン・カラス神父こそがブラッティの立ち位置であろう。 一作目のヒットを受けて、〈 2 〉が製作されるが、これにはブラッティは関わらず、映画の出来もイマイチ (イナゴを追っ払うアフリカの超能力少年を登場させるのはちょっとねー。言うほど嫌いでもないが。)。神学校出のブラッティにとっては、 「メリンが来たから悪魔憑きが発生した」としてバチカンが調査に乗り出すなんて、アホらしくてしかたなかったんと違うか?その後、 自らのメガホンで自らの小説「Legion」を映画化。これが都合〈 3 〉。ブラッティ本人は、”エクソシスト” とは命名したくなかったようだが、配給会社は「正統なる続編」と宣伝。かなり前に一遍観ただけでよく覚えていないが、 キンダーマン警部やダイナー神父といった一作目の人物が出てくるには出てくるが、ことは”連続猟奇殺人鬼”を巡る話であり文字通り 「我は複数なり」というべき殺人者の群れであって、普通の”悪魔憑き”を予想していたボクは面喰らった覚えがある。天井に張り付くおババ (スパイダー・ウォーク!)やハサミでジョッキンは気持ちいいものではなかったことは事実!ブラッティは次のテーマ「死霊」 に移ってしまっていたということだ。そのような経緯からして、ブラッティにしてみれば、今回の〈 ビギニング 〉 は面白くはなかったことだろう。

 脚本の2人(ウィリアム・ウィッシャー、アレクシ・ホーリー)は第一作の印象深い場面を抽出、あちこちに散りばめている。 パズズ像も幾度となく入れ込むし、物語の中心メリン神父はカラス神父と同じように信仰に対して揺らぎがある。 今回の憑依の対象もこれまた子供。グリンピースのスープこそ吐かないけどちゃんとスパイダー・ウォークも登場する。 怖いよりニヤリとすること請け合い。

 ちなみに監督レニー・ハーリン(フィンランド)が選んだわけではないが、マックス・フォン・シドー(スウェーデン) 演じたメリン神父役にはステラン・スカルスゲールド(スウェーデン)が、監督交代の後女医サラ(かなり重要な)役に抜擢されたのがイザベラ・ スコルプコ(ポーランド生まれ、後にスウェーデンに移住)と主だったメンバーが北欧系。しかし、作品中かなり重要なモチーフである 「オランダにおけるナチスの非道な振る舞い」については立場の分かれるところ。中立の立場を取りながらも義勇軍を結成して、 ユダヤ人を保護しようとしたスウェーデン、枢軸国として敗戦したフィンランド。レニー・ハーリンの結論は、 「悪魔よりナチスのほうがよっぽど怖いんやでー」なのかも知らん。

 

これが噂のポール・シュレイダー版らしいです。国内未発売。

posted by 森と海 at 00:20 | Comment(2) | TrackBack(0) | Movie(米)
この記事へのコメント
おっちゃんはいわゆる『3』が結構好きだったりする。
でやっぱり音楽はマイク・オーフィールドの『チューブラーベルズ』を使ってたん?
Posted by tonbori at 2006年05月18日 00:11
〈 3 〉は見れる機会が極端に少ないのだよ。そう言いつつ〈 3 〉の発売決定記事はしっかりチェックしていた(笑)。
んで、〈 ビギニング 〉だけども『チューブラー』のチの字もなかった。いいのいいの、マイク・オールドフィールドのCDは持ってるし。
今の関心は、監督交代劇のもう一方の主役、ポール・シュレーダー版の出来がどうだったのかってこと。「血が少ない」と重役陣に交代させられたとき、既に出来上がっていたという上のそれ。
もっと言えば、当初の予定ジョン・フランケンハイマー版が見てみたい。
Posted by 森と海 at 2006年05月18日 21:09
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