2006年06月04日

**言葉を失った・・・〈 エロス+虐殺 〉**

 絵がトンでしまうか否かというギリギリまで上げられた露出、細かくエピソードごとに刻んでしかも異なる時空間をザッピングした構成、 ・・・もうこれだけでも凄いことになっている。

 今年始め、ポレポレ東中野他で「吉田喜重 変貌の倫理2006」と題して複数の作品が上映されたようで、 あまたのブロガーが吉田喜重を取り上げ一時的ブームに見えた。ボクは全く見たことがなかったんで、残念やら悔しいやら気恥ずかしいやら。

 今回、観る機会が出来たので〈 エロス+虐殺 〉ロング・バージョンを鑑賞。公開時に訴訟騒ぎやら興行上の理由で2時間45分に短縮されたものを、 出来うる限りフランス公開版(オリジナル版)に近づけた3時間46分のもの(ながーっ、INTERMISSIONまであるよ)。

 

 明治大正のアナキスト『大杉栄』とその愛人『伊藤野枝』にまつわる話。最初に書いたように、 大正の世の1923年と撮影時の現代1969年が不規則にザッピングするので、物語を追おうとすると戸惑ってしまう。 要はストーリーを追うという行為はサッサと諦めてしまうこと。全く予備知識がなくても、 ラスト近くには断片化した記憶がおぼろげながら重なり始めてくる。もう一回観れば、その重なりの意味が姿を表すので、 変に考え込まずに身を委ねよう。手っ取りバヤイのは、事前にググって史実を調べとくことだけどね。ココとかココなどが参考になるかと。

 しかし、あまり最初から調べとくって言うのは、お勧めできないんだなあ。革命家とか運動家って聞くと、 つい身構えてしまう類の言葉だからだ。

 本作、人物が喋る台詞はなるほどコムズカシイ単語の連続だけど、あんまり革命とは関係ないよ、たぶんな。 吉田喜重について何一つ知りはしないが、見たまんまで言えば政治は関係ないと思う。これは、フリーラブ(自由恋愛?) を実践しようとした一人の男とその周りにいた幾人かの女たちとの関係を描いたものだよ。男と女の在り様を、 それも心中物に近いドキツイやつを。それが、〈 浮雲 〉みたいにならなかったのは、エッジが効いているからだろう。

 とはいえ、これ一本しか観たことないのだから、もうちょっと研究したらいったいどんな事が浮かび上がってくるやら・・・。 (このエントリーは恥かきとなるかも)

 

posted by 森と海 at 22:35 | Comment(3) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
観てないし、詳細な知識もないので、コメントしようがないんだけど、「これ観たい」「コメントしたい!」と痛切に欲望させるエントリだな、これ。
つまり、それは良きにつけ悪しきにつけ、その映画にそれだけの力があるってことだよね。ふむ。
Posted by acoyo at 2006年06月06日 14:29
監督の「嵐が丘」がちらと観た事が。
優作が監督との仕事を希望してのことというのも聞いたような気がするがそれは確証なしのうろおぼえ。
ちなみに嵐ヶ丘はあのブロンテの「嵐が丘」が元でござる。
Posted by tonbori at 2006年06月07日 00:40
>acoサマ
これね、最初ATGらしかったんだけど予算がデカすぎて現代映画社単独での製作なんだって。つまりは貴方の好みでしょ。
>tonboriサマ
〈 嵐が丘 〉の予告編は、その昔ガキンチョの頃映画館で見ました。「うわっ見たくねーっ」って当時はオモた。なにせガキンチョだったし(笑。
Posted by 森と海 at 2006年06月08日 17:14
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