2006年06月29日

**父さんではない黒社会三部作〈 新宿黒社会 〉**

 黒社会の映画に以和為貴っていうのも悪い冗談なんだけど、とりあえず父さんのDVDはまだ発売なし。 しょうがないので父さんとは別の黒社会三部作について。唐突だけどQHNQ:急に H:放送が N: なかったから)。

 〈 新宿黒社会 チャイナ マフィア戦争 〉1995年8月封切り。出演 椎名桔平・田口トモロヲ・シーザー武志・サブ・ 益子和浩他。監督はもちろん三池崇史監督だ―っ!(まあ落ち着けオレ) くしくもこの1ヶ月後〈 GONIN 〉が封切られる。 〈新宿黒社会 〉の桐谷龍仁にしろ〈 GONIN 〉の金髪のジミーにしろ、今に続く椎名桔平より想起されるイメージ” 蛇のようにネチッこい嫌らしさ”が全開で、なんと貴重な役者だろうか。歯磨きの爽やか系CMなどにうつつを抜かさず、このまま” 嫌らしさ”をキープしていただきたい。この席は長らく蓮司さんが居座っていたが、そろそろ席が空きそうだヨ。

 

 三池監督作品に再三に渡って登場してくる主人公の出自がある。それが日本に帰国した中国残留孤児の2世という位置。 両親の片方が日本人であり片方が中国人。恒常的に日本語と中国語が錯綜する家庭。本人自身も幼児期に中国で過ごした記憶があるかもしれず、 アイデンティティーの喪失から日本社会への適応が危ういという出自である。桐谷龍仁(椎名)もそうである。 そうでありながら警視庁の刑事という日本社会に適応に成功した例だ(ほんとに警察官採用がありうるのかは不明)。 彼は日本社会の鍵は金であることを見抜き、警官という地位を利用して犯罪組織からの見返りもせっせと集める男でもある。 台湾からやってきた王志明(田口)が新宿を拠点に臓器密売ビジネスを始めようとしていることを見抜き、王の組織の顧問となっている弟義仁 (井筒)を抜けさせた上で組織を潰そうと執念を燃やす。

 出てくる男といわず女といわず、すべからく善人が居ない。なんと素晴らしい映画なんだ。 中途半端に善人が出てきたらこれほどシマラナイものはない。黒社会の看板は伊達じゃないのだよ。が、 しかし幼少のみぎりにはいたずらっ子であったと推測される三池監督は笑えるサプライズを用意する。それが王の片腕狩野である。 狩野は元々日本の組織にいたが、そこを抜けて王の下に寝返った。生粋の極道者として生きることに背を向けた理由には、 桐谷と同じ出自が大きかったのかもしれない(って真面目に語ってどうするのだ、この後の展開?)。

 この狩野、やたらと故事熟語を口にする。ブリーフの上から舐められて「心頭滅却すれば火もまたス・ズ・ッシー」と悶絶してみたり、 組織に飛び込んできてボコボコにされた桐谷を前に「虎穴に入らずんば虎子を得ず。ってなんだそりゃ」と揶揄してみたり。 コメディーリリーフの重責を真っ当していらっしゃる。このようなコニクイ役柄を誰が演じているかと言えば・・・、 あのシーザー武志さんである。

owner  シーザー武志。元日本キックボクシング・ ウェルター級チャンピオンにして、パンチ・キック・投げ技・そして立った状態での関節技までを認めた立技総合格闘技” シュート・ ボクシング”の創設者である。同様にプロレスラー出身でありながら、打・投・極の三位一体を目標とする総合格闘技”修斗” の創始者佐山聡氏が、創始者でありながら追放されるという不幸に見舞われたが、シーザー氏は現在で会長。芸能活動はあくまで副 (サブ)ということなのだろう。自身も全日本ホーク級初代チャンピオンである。

 とまあそういう経歴でございますから、殴る・蹴るの演技については真に迫るというかホンモノ(危)。そりゃ迫力が違います。 阪本監督も〈 鉄拳 〉ではホンモノのワザが欲しくて起用したんでしょう。相手の大和武士もまたホンモノですし。しかしデビュー作からして、 シーザー武志氏の役柄はぶっ飛んでおります。身体障害者の抹殺を目論むカルト集団の頭目で、バイクのタンデムに後ろ向きに座って登場。 しかも真っ白の詰襟。ぁゃしすぎる。涙目で「お前らがいると怖くなっちまうんだよ!」と障害者にマジモンの蹴りを入れる姿は、 マジなのかギャグなのか、判断がつかない。このゴッツイ顔、現役時代から20`は太ったと思われるブットイ体躯で鋭い蹴りを放ちつつ、 台詞は失笑ものなのだから。

 話が脱線した(笑。なにはともあれシーザー武志に注目。〈 新宿黒社会 〉では頭から最後までほぼ出ずっぱり。 悪党だらけの本作でありながら苦々しいものを感じにくくしているのも、すべてはシーザー氏の存在感のお陰である。台詞回しはたどたどしいが、 そこを逆手にとったキャラクター設定が効いている。ゲラ笑いまではいかないが徐々に効いてくるボディブローとでも言えまいか。

 映画の終わるころには、すっかりファンになってしまってるゾ(笑。

 

posted by 森と海 at 00:36 | Comment(6) | TrackBack(0) | 三池崇史
この記事へのコメント
以和為貴、予約開始されてますよ。発送は7月14日。
2枚組特別版には何とラム酒のインタビューが付いているみたいです!もちろんこちらを予約しました。
Posted by micchii at 2006年06月29日 14:15
>micchiiサマ
アレッ!ほんとだ、予約開始している。定期的に確認に行ってたんだけどなあ。
しょうがないので、予約しましょうか。って、待ちに待っていたくせに(爆。今度のはキッツイらしいですねぇ。
Posted by 森と海 at 2006年06月29日 23:19
何故か三池作品のうち初期のこの黒社会3部作は避けているという(苦笑)
いや何故か当時手が伸びなくて今も『許されざる者』とか『IZO』を借りてるくせにまだ観てないという。
でも観ないとやっぱダメ?
Posted by tonbori at 2006年06月30日 22:25
>tonboriサマ
いや、別に観なくたって構わないのだけれど〈 DOA 〉が実はこいつの焼き直しという事実に気付いちゃうと勿体無くてねー。
Posted by 森と海 at 2006年07月03日 00:32
初めまして。質問ですが新宿黒社会のチャイニーズ龍爪の頭目役のアキオ・ヤマトのプロフィールを教えて下さい。
Posted by ケンB at 2009年01月13日 16:34
ケンBさん、初めまして。
龍爪の頭・王は田口トモロヲさん、その愛人周は益子和浩さん。確かにエンドロールの最初のほうにアキオヤマトなる出演者が出てきますけど、あいにく資料が見つかりません。申し訳ありません。
Posted by 森と海 at 2009年01月13日 22:59
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