2006年07月13日

**徐克さんの新旧2本**

 徐克(ツイ・ハーク)さんの新旧二作品を観ましたYO。新作のほうは事実上(テレビ映画をのぞいて)最新作の〈 七剣 〉。途中、 天山のくだりの省略の具合には面喰らいましたが、マトリックス以降のアクション物に関わらず、なにが起こっているのが解らないアクションには好印象。いや、正直言って「槍の切っ先が水滴を切り裂く(英雄)」 のようなスローのアクションには食傷気味。最初観た時は「スゲ―ッ!」って思いましたが、こうも度々繰り返されると馴れまっくって観ているほうはレストタイムになりますもん。そこいくと徐克さはそこいら辺の葛藤を乗り越えているようで、剣士と剣士のせめぎあいを、理解できなくてもいいとばかりにクローズアップとリアルな時間経過で押し切る力技。いや、こうでなくちゃ! 戦いの一挙手一投足を観客に理解させようとしたのはジャッキーさんの欺瞞ですもん。本当の意味で秘儀という奴は常人には理解できないはず。

 もう一本はというと、かなり古い作品。都合監督第二作。こんなものがリリースされているジャパニーズは侮れないのですよ。 〈地獄無門 〉。

 

 現題〈 地獄無門 〉が、日本に渡って邦題〈 カニバル・カンフー / 燃えよ!食人拳 〉。とりあえず題名が内容を示しているか? という観点からすると、トンでもない邦題なんですが、イイジャナイ、キャッチーだよ、この題名は!

 あらすじはというと「その離れ小島にある寒村には、ある秘密が隠されていた。中国政府の密使"999"が、長年追っていた盗賊を逮捕するため、その村を訪れた。しかし密使はそこで、恐るべきものを目撃した。訪問者を無残に殺し、食料とする、 “食人部落”の真の姿を…。」ってな内容。まさに”カンフー meets 食人族”。香港でしか出来ない出会い。

 これ、この時代に合ったカンフースタイルで、ケレン味ないハイスパートな戦いでありまして。そのような妥協なきストロングスタイルの中にも、笑かしドコロが挿入されておりまして。"999"が戦いの最中に手巻きタバコをを巻いて吸ってくれます。それほど有名でない俳優の余裕の喫煙シーンはコッチも一服しようかと。(笑。 いやそんなとこじゃなく、全体が如何わしい点がとても素晴らしく感じましたヨ。

 大体において、〈 食人族 〉の世界的大ヒットを受けての企画なんでしょう。”カンフー meets 食人族” という方程式は面白企画としてマーケッティング的に間違ってはいないと思いますが、そこには中華のヒトとしてのウッカリが滲み出てしまったように思います。 密使999は最初の戦いで傷つき、村の外れの女の家で体力の回復に努めます。もちろん食事には”長く煮た柔らかい肉”を振舞われて。 想像通りこの肉とは・・・。反対に村の実体を知った”999”らは、命からがら村から対岸に逃れて、ほっと一息アヤシイ屋台のワンタン麺を食しますが、その中から人の爪を見つけてオエ―ッ!っとなります。なにがいいたいのかと言うと、「999、アンタとっくに人肉食してるやん」ってこと。日本人の我々には、その点だけでも堪えられないのですな。「もうすでに喰っとるやん、忘れたのかいな?」 ということは、”999”がいくら正義の使者であろうと、ボクらには同じ穴の狢にしか見えないとです(ヒロシです)。さすがは 「客人に自分の子を料理して振舞った男」の話が美徳として残っている国。未だにフルーツ・チャンではないですが”胎児食” が秘法として受け継がれている国。そういう行為は基本的に飢饉の時に仕方なくというスタンスの我々ととは立ち位置が違います。食人という行為に対するタブーが軽いように見えます。そこら辺が、元々海外に売る予定が無かったフィルムだったんだろうなと思い、食文化の違いをまざまざと見せ付けられて極めて貴重ではないかと。

 まあ、そんな重箱の隅を突付くような見方しなくても、密使”999” のカンフーの動きはハギレよいですし、トンでもアクションと割り切れば良し。〈 ブレイブハート 〉のラストのナレーションバリの屠殺シーンも作り物感満載でサラっと流せるのではないかと。〈 ゾンビ 〉 あたりを平気で見られるこなれた御仁であるなら、3時のお茶請タイムにどうぞ!といってはばからない出来であります。 せっかく日本でリリースされたんだから、とりあえず観るべきですって、オジイチャン。

 

posted by 森と海 at 00:59 | Comment(4) | TrackBack(1) | Movie(華)
この記事へのコメント
『カンニバルカンフー』はうちの近くだとレンタルに置いてないんですよね…店頭で売ってるのもみたことないケド、笑。もしやすごい人気ですぐ売り切れてるとか!?

『七剣』いい映画ですよね!川井憲次の音楽が盛り上げること盛り上げること!
アクション描写もたしかにわかりにくいけれど、それを補うだけの迫力出してますから流石です。
ジャッキーのわかりやすさも好きですけどね。
Posted by cardhu at 2006年07月13日 21:49
>もしやすごい人気ですぐ売り切れてるとか!?
ないない(笑。
本気でネタばれすると、ジェネオンがあまり力を入れていないということでしょう。うちの周りのレンタルにもありません。そんなボクにはオンライン・・・。
Posted by 森と海 at 2006年07月13日 23:18
というかツイ・ハークの『ブレード/刀』なんかでも重いのよね、アクションが。そういうのはマトリックスあたりのとは違いますぜと。
ただ向こうの人はどんなのにでも対応かつその骨子をしっかり叩き込まれているつうのが差が出るなと思う今日この頃。
そういうゲテモノ系なんかでも結構スルーされている珍作迷作がまだまだありそうな予感。
Posted by tonbori at 2006年07月14日 21:22
>tonboriサマ
ボク、ツイ・ハ―クってあんまりよく知らないのですよ。噂では「香港のスピ」などという有り難くもない呼ばれ方をしているのは聞いてます。
マトリックスはユエン・ウーピンの武術指導が軽いってことはないのでしょうね。いや、やっぱり撮影方法か。
Posted by 森と海 at 2006年07月16日 01:10
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