2006年07月17日

**三池監督の黒社会第三弾〈 日本黒社会 〉**

 ようやく最後の一つだ(ふうーっ)。

 7月14日にジョニー・トー監督の〈 以和為貴 〉DVDが香港にて発売。同日大量のDVDが日本に向けて発送された模様。 そうなると2・3日中にはあちらこちらのblogで、レビューがアップされそうな、そんな気配が濃厚な今日この頃。、「埋もれてしまう」 という焦燥感から、さっさと三池崇史監督の黒社会三部作ラスト作をアップしちゃうのだ。

 

NIPPON_KUROSYAKAI-0  中国人の父と日本人の母(残留孤児という設定がここにも)との間に生まれた龍一 (北村康のちの一輝)と俊霖 (柏谷享助)の兄弟、そして張 (田口トモロヲ)は、ベトナム人 (大杉漣: ほんとこの人はいつも不良外国人ばかりだなあex陳)が経営する工場(盗難バイク密輸出が本職)を襲い金を奪って、 今や人種の坩堝となった国際都市・新宿は歌舞伎町へやってきた。そこでアニタ(李丹:どうでもいい話だがエロカッコイイというのはこんな娘と言うんでないかい? )という中国人娼婦と出会い、彼女にまんまと金を騙し取られてすっからかんになってしまった。 テンコロ干しの3人は、ひょんなことから知り合った黒人・バービーにトルエン売買(トルエン売買の元締めが哀川翔:トルエン道を3人に説いたりするが、いつになくちっちぇーぞ! )の仕事を紹介して貰い、日本脱出を夢見るようになる。だが、上海マフィアのボス、ウォン (竹中直人:「カルロス」!このウォン、ファーストルックから凶悪。 店でラーメンを喰ってると猫がニャーニャー五月蝿い、と、突然銃で撃つような危険な奴。) に目をつけられ、計画はうまく進まない。しかも、偽造パスポートを手に入れるには莫大な金がかかるのだ。 売春斡旋屋から逃げ出したアニタと再会した3人は、一緒にブラジルへ逃げようと、ウォンの店を襲撃して逃亡費用を強奪。しかし、 それに激怒したウォンによって張と俊霖が殺されてしまう。ウォンの追撃をかわし、 なんとかブラジルへの密航船へ乗り込むべく船着場へ行った龍一とアニタ。ふたりは、待ちかまえていたウォンを倒すと、 傷つきながらも大海原へ舟を漕ぎ出す。‐end‐

 〈 DOA 〉の竹内力もそうだったが、生まれ育った境遇を自らの力で変えていこうとする物語を描こうとすると、 もう生粋の日本人ではダメなのかも知らん?日本人で底辺の暮らしをする人っていう設定は、 映画的には既にありえないほどこの国は均一化されているのか?貧乏暮らしをする最果てが丸太小屋に住まう黒板一家では、”アナーキー” ではなくて”まだ子供が食ってるでしょ”になっちまいますものなあ。〈 日本黒社会 〉という題名のはずが、 気が付けば新宿に巣くう外国人及びそれに順ずる者達しか登場してこないのはご愛嬌。

 さて、第一作が「毒を以って毒を征す。副作用有り」、第二作が「捨てられた者達の夢。夢の結末」、ときて第三作はというと 「若者達の未来への脱出」という感じで、まさに青春の蹉跌っぽい。本来、この手の話は昔の日活か今のハリウッドの御得意とする分野。 三池さんには似合わない話なのだが、ネタバレすれば主人公たちはほぼ自滅の一途を辿るのでらしいといえばらしい話だ。 主演の北村一輝のクドイ顔もココでは、アイノコピィーッを納得させる何かと共に破滅へのスタンピートを感じさせ、 娼婦役の李丹と並んで走る行き先は自ずと死の気配濃厚である。それでも、弟俊霖とアニタとの奇妙なトライアングルや、 悪友張の無鉄砲さやらがっちりと繋がる友情やらで、それは青春劇と呼ぶに相応しい。なんだか、 「生きるってことは突き詰めるとこういうことなのかなぁ?」と、戦後のドサクサを知らない世代のボクなども思ってしまうのだ。

 で。もう一個だけネタバレ。ラスト、船着場でウォンに待ち伏せされ、窮地に陥った龍一とアニタ。龍一の機転でウォンを倒した2人だが、 多数の銃撃に傷ついてしまう。場面変わって波間に浮かぶ小さなボート。中には多量の血を流す傷ついた2人。 カメラが上空に引いてゆくとそこはなんの影もない海の真中。果たして彼らはブラジルへの密航を果たせたのか?!状況から判断すれば、 密航船への手筈などなかっただろうし、傷ついた2人が生きて何処かへたどり着くことなどあるはずもない。ただし、 逃げ出したかった日本からは追っ手を掃って逃げ出すことができたその一点においてだけは希望が残る。 絶望と希望が入り混じった奇妙奇天烈な感慨を持つ後味。このあと、もっと仰天する後味を持つ作品が生み出されることになるが、 結果としてその露払いとなったのではなかろうか?

 

posted by 森と海 at 00:32 | Comment(8) | TrackBack(0) | 三池崇史
この記事へのコメント
>同日大量のDVDが日本に向けて発送された模様

実際どれくらいの数でしょうね。
mixiで「ジョニー・トー」のコミュニティに参加している人は現在239人なので、mixiって確か300万人くらいは入ってるはずなのに、それで239人。
先日『リベリオン』を観た人数といい勝負でしょうか。
Posted by micchii at 2006年07月17日 12:39
>micchiiサマ
ボクmixiは参加してないので、mixiで試しに〈 以和為貴 〉を注文している人って聞いてみてくださいよ。SNSに参加するようなネットにコミットした人々のなかで、というかコミュニティ239人中何人なのか気になるところ。
Posted by 森と海 at 2006年07月17日 23:29
mixiはまだ参加して1ヶ月ほどなんですが、父さんのコミュ全然盛り上がってません・・・。
『鐵三角』や『鎗火2 放・逐』についてトピを立てた時は3人ほど反応があったんですが、『以和為貴』の予約開始を知った時すぐアナウンスしたら反応はゼロでした。
ですので、以下略。
ちなみに、239人という数は、他の有名監督や俳優などと比較すると、少なくない数だと思います。1000を超えているところはそうはないですから。
Posted by micchii at 2006年07月18日 13:48
俳優で映画を観る人はいるでしょうけど、監督で、しかも日本公開が飛びまくっている香港の監督を追っかけている人が239人もいるってことの方が、驚異と思っときましょう!いや別段追っかけていないのか(笑。
Posted by 森と海 at 2006年07月18日 21:31
やっぱりこの黒社会シリーズ、三池監督のそっち路線(笑)のデフォっぽいね。
結構処女作というか初期の作品に色々散りばめられているのは黒澤さんでもジョン・フォードでも変わりなしだもんね。
Posted by tonbori at 2006年07月19日 23:18
>tonboriサマ
またまた憎いことおっしゃる(笑。
師匠イマヘイの重喜劇に対して、ミイケの軽悲劇つーのはどう?けっして人の死が軽いという意味でなく、読了感が重くないという意味で。
Posted by 森と海 at 2006年07月21日 00:21
>ミイケの軽悲劇
なるほろ、それもアリかも。重に対してという部分では。でも軽というよりは逆悲劇(喜劇的な部分に対峙している)という悲喜劇ではなく逆にも読めるってのもありかも?と思ったり。
ただイマヘイさんへのアンサーとしては軽悲劇かなあ。
Posted by tonbori at 2006年07月21日 00:40
強引に作ったので、さらっと流してもらって結構です(苦笑。言葉を扱う職業の人の真似をしてみたくなったんです。ほんの出来心です、許してください(笑。
Posted by 森と海 at 2006年07月21日 22:02
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