2006年07月30日

**日本人のアイデンティティを問う〈 日本沈没 〉ほんとに問うてたかぁ?**

 噂が噂を呼ぶ〈 日本沈没 〉を観てまいりました。

 結論から言うと、「単品としてみればこういう幕の閉じ方もあり。但し73年版を知らなければ。」 というところに落ち着くのではないでしょうか。興行的には成功でしょう。夏はおろか秋口まではずーっと観ることが可能なように思います。 隅を突付けばいくらでも難癖つけられる脇の甘さも、出口インタビューを受けて「感動した」などとのたまうようなポヨポヨなオネーサン方には、 特に問題にはならないのでは。

 個人的には、最初の災厄「九州と北海道の火山活動」で、多分ボクはお亡くなりになるはずです。 阿蘇があんな噴火したらカルデラの中はもちろん、九州全体が激震に襲われその時点で建造物崩壊(橋梁も)、ライフラインはズタズタ、 海岸線は液状化でぼろぼろ、本州からの救援は港がダメ空港がダメで、災害から3・4週間で全滅ですって!しかし最初の兆候が駿河湾なのに、 何故南と北が最初なのだぁ?大島とか浅間山とか活火山は関東・中部にもたくさんあるじゃないか!底意地の悪さを感じるところだ(笑。

 

 さて、ストーリーについて語りたいのですが、即ネタバレになりそうなんですな。なんつったって、題名からして 「日本はプレートテクトニクスに従って沈む」ハズなのに、戦略自衛隊 (J.S.S.D.F.: セカンドインパクト後の2003年に起こった南沙諸島を巡る中国とベトナムの紛争を期に創設された日本国国防省直轄の組織) 装備のN2爆弾使用によって「一部沈まないで日本諸島化」のですから(あっ、言っちゃった)。この放射性元素を含まない核兵器級の爆弾は、 他の映画でもいろいろ使い道がありそうだなぁ。ほかのヒトの映画でも使用許可を出してくださいね、庵野サン。

 ネタはそこまでにして、えーとね、観ててイライラしてきたんだなこれが。イライラの原因の一つは小野寺俊夫サン (このエントリーを書くために公式HPを訪れたら、小野寺俊夫さんの画像が上がっているよぅ。 ひょっとしてうちだけ見られなかったってことじゃないよね。)と阿部玲子サンの2人。俊夫さん、真実(300日で沈みますよってこと) を知っているにしたって、あまりにフラフラしすぎ。ほぼ戒厳令下に近い脱出作戦中にどうやって移動したのか、遠方の実家に顔出したり、 玲子の家族の避難先に手土産もって現れたり。さっさとイギリス行けよ、何故君はそんなに自由なんだい?玲子サンのほうもなんと言うか・・・ うそ臭い。〈 亡国のイージス 〉でも同じようなこと書いたような気がするが、 自衛官とか警官とか消防士というような職業のの人は日頃の訓練で敬礼や会釈が体に染み付いているはず。 玲子サンのお辞儀は背筋に力の入っていないくにゃーーっていうもの。ボクなら偽者って見破るね。 そしてその2人だけが画面を占めるようになると、・・・苦痛でしかなかった訳ね。恥ずかしいというかこそばゆいというか、 とりあえず詳しい場面書かないけど「小野寺さん、抱いて」の台詞を聞いた時には、ココは笑うとこなのデスカ?と聞きたくなったのです。

 それ以外の大人の役者さん方の出演する場面は、すこぶるテンポもいいし、静寂のなかにも苦渋が溢れていたりで素晴らしい。 いっそのこと上の2人の出演シーンをカットしちまえばいいのになぁとも思ったサ。さしずめ〈 スター・ウォーズ 〉 で言うところのジャージャー・ビンクスですな、クサナギくんは。そうしといて辻褄の合わなくなるラストあたりは、その役目を王子様 (ミッチー)が担えばなにも問題無い。

 73年版は「日本人はどう生きてゆくのか」という命題を突きつけたラストだったが、 本作では「混迷する世界情勢のなか、あっちフラフラこっちフラフラしながら、あちこちに迷惑を掛けつつ、 それでも日本人は生きてゆく」ということを、 俊夫サンのフラフラ具合や劇中の政治のグダグダ加減に投影しているようにも思えた。惜しむらくは、福井晴敏サンが本格参戦していれば、 戦後日本の仕切り直し・ゼロからのスタートを一貫としたテーマとする氏のこと、世界を漂流する日本人難民のスタートまで描いただろうに。 福井サンの得意分野でしょ、ボクはそっちの方が観たかったノダ。

 

posted by 森と海 at 23:20 | Comment(4) | TrackBack(1) | Movie(邦)
この記事へのコメント
いやいや『文豪』福井氏が参加しても結果は同じでしょ。つうか最初に沈没阻止ありきのような気がするし。たぶん盛大に沈没阻止を盛り上げる方向にもっていくでしょうな。(まあそれはそれで『妖星ゴラス』なみにありえねーとかくらいやってくれれば納得しちゃうかも(笑))
そういえば左京先生の第2部(沈んだあとの難民の話)をSF作家の谷甲州先生が共同執筆しているのがすごい印象的。谷さんはいわゆる海外青年協力隊とかいうので海外でのかつどうしていたことがあったんで。(それを買われての起用とか)
Posted by tonbori at 2006年07月31日 23:01
>最初に沈没阻止あり
やっぱ。そうだろうねえー(しみじみ)。
しかし、「何故ヘルメットの顎当てを合わせない?」とか、画面の隅々までツッコミポイントが存在するという近年稀にみる邦画なんで、DVD発売が楽しみだ。仲間と上映会⇒ツッコミ合戦てのが一番の楽しみ方ではないか?と。
Posted by 森と海 at 2006年08月01日 23:53
いやねえ。例のKさんから酷評が来て、tonboriさんの読んでこっち読んで、もう「観ねば!」って気がひしひしとしてきたね。
何なの、これ(爆)。
つうことで、先に意味不明なTB打ちますんでよろすく。
Posted by acoyo at 2006年08月03日 18:03
お邪魔させて頂きました。わたすがいじめっ子の森と海だす。観てない映画をオカズに飯を食う。いや素晴らしいさすがは予告編評論家だ(笑。
Posted by 森と海 at 2006年08月04日 00:33
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『日本沈没』におけるあれこれ。
Excerpt: ●奇跡は本当に起こったのか?『日本沈没』(ネタバレ!)(web-tonbori堂) ●日本人のアイデンティティを問う〈 日本沈没 〉ほんとに問うてたかぁ?  つかね、観てないんすがね、『日..
Weblog: きょうのわたくし
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