2006年08月01日

**本家はパロディとは違うのだよ〈 ニューヨーク1997 〉**

 えらく久しぶりに〈 ニューヨーク1997 / ESCAPE FROM NEW YORK 〉を観る。 久しぶりに観たんですっかり忘れていたが、コレTVじゃ流せなかった映画なのね。大統領専用機エアフォースワン (ボーイングなのでまさしく旅客機のシルエット)はニューヨークのビルの谷間に墜落し、スネーク・ブリスケンのニューヨークへの侵入は 「貿易センター」の屋上にグライダーでモロ不時着。アレ以降、アメリカのTVはおろか、アメリカの顔色を窺う日本でも、 まず自主規制が入りそうな場面がゾロゾロと。〈 ユナイテッド 〉が公開されるようになった今なら許されそうだ。

 監督は、作品の音楽は自分で賄う、作品には常に西部劇臭漂う、ジョン・カーペンター氏そのヒトだ。マスターズ・オブ・ ホラーの一員なんだけど、このヒトの映画で純粋にコワイのって、何があんだっけ?

 

 どちらかといえば軽いコメディタッチの作品でその真価を発揮すると思われるカート・ラッセルさんを、 なぜかマッチョヒーローと勘違いさせてしまった罪作りな作品が、この〈 ニューヨーク1997 〉である。ボクらの間では長い間、 スネーク・ブリスケンのせいでカート・ラッセルさんと某カリフォルニア知事さんとが同列のごとく扱われていた。今になって思えば 「じぇんじぇん違うジャン」なのだけれど、ガキンチョだったボクらには、スネークとはそれほど強烈なキャラクターだった。 某TV放送時の素晴らしい意訳「スネークと呼べ」(実際はName is Snake.でしかない)も拍車を掛けた。長い話を一口で言えば、 「かっちょえー!」の一言だったのだ。

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 んで、改めて見返せば、当時「かっちょえー」と思っていたコイツも今になってみると、作品の端端にマヌケなくらい格好悪い場面 (ex.クレイジーに取り囲まれると、大慌てで壁を撃ち抜いて逃げ出したり。それまで話していた女は無情にも放置。)もあるが、 当時としてはそういうずらした笑いを意図したわけでなく、ただ単純に「アレだけの数のインディアンとマトモに戦って生きて帰れるはずは無い」 というただただリアリティを考慮したものだろう。

 そう、いたって大マジメなのだ。 「元特殊工作部門の兵士にして銀行強盗という大きいんだか小さいんだか首をかしげそうなキャラクターなら、この程度が限度ってもんだろ」 という常識的判断の働いたアンチ・ヒーローぶりなのだ。マジメに作っているからこそ、今でも強力に好むファンも大勢いる。では〈エスケープ フロム L.A. 〉はというと・・・。ゴメン、言えないわ(笑。

 〈 エスケープ フロム L.A. 〉は、同じくスネーク・ブリスケンが登場し、 同じく時限を切ってブラックボックス奪回というプロットから、続編⇒セルフリメイクというように捉え方が変わってきた。 そこをボクは一歩進めようと思う。〈 エスケープ フロム L.A. 〉は、〈 ニューヨーク1997 〉のセルフパロディである。と。 ハングライダーでグルグル回って銃を撃ちまくるなんて、公開された当時でも失笑物だったよ。まったくカーペンターって監督は、 ズバリ判っててやるから始末が悪い。ほとんど面白がってやってるようにしか見えないのだ。こんな映画誰が観るのかっていうと、 既に監督の術中に嵌っていたボクらは劇場に行きましたデスヨ。

 「パロディを売るには本家をしっかり作っとかにゃ」という当たり前のことを、当たり前のように教えてくれマシタ。

 

アメリカ発売のspecial editionには、カットされた銀行強盗失敗のシークエンスがボーナスとして入っているらしい。コッチがほしい。

 あっ、思い出したコワイ奴、〈 マウス オブ マッドネス 〉。吉外過ぎてサイコー!(ほんとは〈 ハロウィン 〉を上げないといけないのだろうけどね。)

 

posted by 森と海 at 23:36 | Comment(4) | TrackBack(0) | Movie(米)
この記事へのコメント
リメイクされた『ザ・フォッグ』『遊星からの』とかまああるにはあるけどともかく音楽がいっつも同じカーペンター(笑)でもサントラもってるけどね(爆)しかもLPで。
LAの方はご丁寧にピーター・フォンダに波乗りまでさせてるところにこの監督の執拗さを感じましたデス。
Posted by tonbori at 2006年08月02日 00:45
LP持っているって、リンダ・カーペンターってオチじゃないっすよね?
カーペンターってつくづくシャレが分ってないと観れない監督さんだなーと。マトモに付き合っていると怒りだしちゃうんじゃないの?てくらい。でも好きなのだ。〈 物体X 〉よりも好きな物もある。最強のヴァンパイア西部劇をいつの日にかエントリーしようと虎視眈々と狙っているのであった。
Posted by 森と海 at 2006年08月02日 21:32
作ることになるかもしれない第三弾「Escape From Earth」はどういうコンセプトで来るんでしょう? パロディのパロディ?スネーク・ブリスケンがみられればそれだけでも満足です!

釈のじゃない『スカイハイ』でのカート・ラッセルの正義のヒーローぶりもスネークのイメージとのギャップがあるからこそ笑えるというもの。
Posted by cardhu at 2006年08月07日 16:59
>cardhuサマ
うーん、宇宙サーフィンでもするんじゃない?やるだろ、カーペンターなら。
スネーク・ブリスケンのイメージで〈 エグゼクティブ・デシジョン 〉を観ると、せっかくの監督の目論見の意味が判らず、無粋なヒトって後ろ指を差されてしまいますのでお気をつけあそばせ。
Posted by 森と海 at 2006年08月08日 20:55
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