2006年08月15日

**〈 ヴァンパイア 最後の聖戦 〉男汁まき散らし**

 先日、フジテレビ深夜枠で放送されたせいか、エントリーされている方もちらほら。その評は一様に、怖くないホラー(ごもっとも) だとか安っぽい(御意に)とかつまらん(そーじゃないだろ)とか散々なんだが、 4700円ジュエルケース時代に早々とソフトご購入なさった贔屓の方々に対して「それは失礼だろ!」と、いささかご立腹気味。いや” ソフトご購入なさった贔屓”っていうのはボクのことなんだが・・・(笑。

〈 ヴァンパイア 最後の聖戦 / John Carpenter's Vampires 〉
監督 / 音楽 ジョン・カーペンター(今回の音楽ギターが渋い)
出演 ジェームズ・ウッズ(どっちかっていうと狂い系の多い役者)
   ダニエル・ボールドウィン(ボールドウィン兄弟の次男。ちょっとジミ目でオデブ)
   シェリル・リー(世界一美しい死体役で有名になった人。ってもう〈 ツイン・ピークス 〉を覚えている人も少なかろうて)

 

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 まあ何はともあれ、このヴァンパイアの巣に向かうスレイヤー・チームの雄姿を、アップ⇒中距離⇒ロングときて、 再び中距離⇒アップで切り返すキャメラ・編集がエエ感じだ。しかも色彩設計も全体が黄色味がかって、ヌケない青空ときている。 この家には何かがあると思わせる一種禍禍しい雰囲気がステキだ。

 んーと、これヴァンパイア・ハンター(スレイヤー)のお話なんだけど、怖くはないのは本当。家の中に入って、 最初のヴァンパイアに遭遇する場面こそいきなり飛びかかってきて驚くけど、後の奴らの退治のシークエンスはダイジェストだもの。ジャック (ジェームズ・ウッズ)が奴らをボウガンで仕留めて、矢に繋がったワイヤを外で待っているモントヤ(ダニエル・ボールドウィン) がジープのウインチで巻いて、戸外に引きずり出す。あわれ太陽の下に曝されたバンパイアは、発火して燃え尽きるというものだ。退治の場面はその繰り返し。 怖がらせようなどというスケベ根性はかいま見えない。これはホラーと思ってもらっちゃ困るんだよ、ホラーじゃない何か。 また、ここでのスレイヤーたちは決して強くない。腕力はヴァンパイアに遠く及ばないし、銃では殺れない。 接近戦なら杭を心臓に立てるしかないし、あとは太陽に頼るしか手立てはない。そういう意味では、 ワイヤで引きずり出すという作戦は安全かつ確実な方法なんだ。ニンニク弾とか水銀弾といったトンでも兵器はいらねーんだヨ。 引きずる駆動力が馬からウインチに変わっただけのこと。第一、引きずり出してサンタンっていうのが、いかにも生っぽくっていいじゃないか。 そりゃあ燃え上がったヴァンパイアがモロ人形なのは、チープと呼ばれても仕様がないのだけれど。

 そんなことは置いといて、男汁まき散らしの映画なのだ。ビョ―ンとラストまで飛ぶけどこのラストが実にいい。2日前にカトリーナ (シェリル・リー)に噛まれたモントヤは、カトリーナをトラックの荷台に匿って逃げようとする。

 ジャック「いつ噛まれた?」
 
モントヤ「2日前だ―だがお前を助けたろ」
 
ジャック「そうだな―お前に2日の借りがある」
 
ジャック「どこへ行こうと―必ずお前を見つけ出し―殺すぞ―女もだ」

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 ―無言で抱擁する2人―
 モントヤ「神のご加護を 友よ」
 
ジャック「神のご加護を 戦士(スレイヤー)」

 チームの仲間が噛まれた場合生かしておいてはならないという規則を曲げて、その場を見逃すジャック。 しかし必ず追い詰めて殺すと宣言するジャック。そのジャックの言葉に必ず彼に仕留められるという確信めいたものがありながらも、 2日間待ってくれるという友情に抱擁で答えるモントヤ。モントヤはその友情に神の加護を祈り、 ジャックは吸血鬼となったモントヤを今だ戦士と称える。濃いけどいいよなああ。男だよなああ。

 並みの監督ならこのような感動的な場面で映画を終わらせそうだが、違いのわかる男カーペンターはココでは終わらせない。さあ、 残ったヴァンパイアどもの始末をつけなきゃ。

 ジャック「質問がある―吸血鬼を刺したとき立ったか?」
 神父「樫の木」「黒檀」「カチカチ」
 ジャック「悪魔の言葉か?」
 神父「オッ立ち」
 ジャック「言葉に気をつけろ」

 前半伏線として散々神父をからかった「オッ立ち」話を持ち出してきて(もちろんそれまでは神父は「オッ立った」 なんて言葉は使わない)、神父にそう言わせる。これはオブザーバーだった神父が、 一連の死闘を通してスレイヤーの一員になったことを意味する言葉なのだ。しかもゆるいオチでもある。

 いやあカーペンターは一筋縄ではいかない。でもカナ―リ惹かれるぞ。

 

posted by 森と海 at 23:38 | Comment(4) | TrackBack(1) | Movie(米)
この記事へのコメント
カーペンターってほんと西部劇好きなんだよなあと思わせてくれる作品が多くて殆どがなにかしら西部劇からの引用が多くてこの作品も荒くれ賞金稼ぎが賞金首を追っかけるという作品の変形?とも言えるし。そこの主人公にウッズを持ってくるとこがいいよねえ。
Posted by tonbori at 2006年08月16日 23:32
ほぼすべてが西部劇からの引用とみて間違いなのでは?あの〈 Big Trouble in LittleChina 〉でさえ西部劇しているんだから。
まともなウッズは記憶の上ではコレが唯一。
Posted by 森と海 at 2006年08月17日 19:49
最近中古でサントラ入手しました。
メチャクチャ格好いいですね!

ジェームズ・ウッズは最初に認識したのが『ハード・プレイ』だったので、コメディできる人という印象が強かったんですが…笑。
DVD…1500円コーナーで『ヴァンパイア』というのを見つけて買おうと思ったら「黒の十字架」でした…。
Posted by cardhu at 2007年06月14日 00:46
>cardhuサマ
カーペンターの書く音楽って一般には絶対ウケなさそうなんだけれども、一部の人には大ウケという感じですよね(曲調自体が古いってこともあるのか?)。

そんな中でもコイツは格好良い。同じく泥臭く渋いギターでもライ・クーダーあたりとは全く違い、ほんとにギターに土でも付いているかのような・・・。
Posted by 森と海 at 2007年06月15日 22:49
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『ゴースト・オブ・マーズ』でカーペンター祭りをやってみる
Excerpt: なんで『ゴースト・オブ・マーズ』を借りてきた。でそのついでに『ヴァンパイア??最後の聖戦??』も。 『ヴァンパイア』は以前TVで観た事があるのだが『ゴースト・オブ・マーズ』は未見。 但し伝え聞くと..
Weblog: web-tonbori堂ブログ
Tracked: 2006-12-28 00:54
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