2006年08月20日

**〈 黒社会 〜 黒社会2/以和為貴 〉繰り返すこと繰り返せないこと**

 そろそろ〈 黒社会2 〉DVDをワザワザ海外より取り寄せてまで観るという人は、それぞれ既に手にしてご満悦のことと思う。 初期購入者は落ち着いてきたと。もちろんのこと、〈 2 〉と謳う作品を購入している人は、〈 1 〉も既に観ていることだろう。 どうみたって、このジョニー・トー監督作品は二つで一つの作品であることは明白で、本来〈 1 〉と〈 2 〉の間には、 インターミッションが設けられていたはずなのだ。

 日本での公開予定はというと、〈 黒社会 〉は配給会社が買って2007年公開という噂もある。一方で、 〈 黒社会2/以和為貴 〉はというと、日本の配給会社は何処も買っていないという話も聞こえてくる。 配給が買わないということは、今のところ公開はもとより未公開ビデオという消極的衆知さえ行なわれないという可能性が高いのだ。 これは砂漠に行ったロレンスの奮闘で終わっちゃって、砂漠をオートバイで疾走する姿は観れないのと一緒なのだ。イカンだろ、イカンのだよ。

 ということデ、前後編をネタバレしまくりの忌憚ない姿勢で語りたいと思う。 とは言っても広東語どころか英語さえも怪しいボクの意訳だし換骨奪胎も心がけるけどサ。

 

〈 黒社会 〉
 香港最大の結社『和聯勝』。構成する組織はそれぞれ。ある者は手羽焼きを下ろし(テキヤ?)、ある者はエロVCD販売に精を出し、 ある者はミカ締め料をシノギとする雑多な集団である。2年に1度、その『和聯勝』の会長を決める「札入れ」を行なう。その前哨戦、 次期会長の座を狙う大D(レオン・カーファイ)は、幹部に対する買収工作に余念がない。ところが、「札入れ」の日、現会長Teng(ウォン・ ティンラム)は血気盛んな大Dを嫌い、比較的柔和な阿樂(サイモン・ヤム)こそ会長に相応しいと推し、皆もその意見になびき次期会長は阿樂と決定した。その過程で大Dから金を受け取っていたある幹部も阿樂を推してしまった。
「ワシの金、どないしてくれんや!」と収まらない大Dは、その幹部と代貸を拉致し痛めつけ、前会長を呼び出して会長の証である『龍頭棍』を欲し、 ありかを聞き出すのだった。
 そんな騒ぎの中警察は、組織の主要なメンバーを拘束し、Tengに事態の収拾を依頼する。拘置所の中で毒づく大Dの元にTengが訪れる。
「親父ィィーッ、なんで俺じゃイカンのじゃ。こうなったら『新和聯勝』 を起こすしかないじゃがの。」大Dが吼える。
「オマエは本気で『新和聯勝』を起こすちゅーがか?本気か?」Tengが真意を問う。
「仕方なかじゃろーがぁ!」
「ほんなら、オマエは敵じゃの。戦争じゃ。」
「戦争!望むところよぉ。ワシはとことん殺っちゃるけん!」 最後まで吼える狂犬大D。この時点で大Dは組織から外れた。
 一方、『龍頭棍』争奪戦は、各組織の若手を中心に、阿樂派・大D派に分かれて展開していた。そんななか、幹部会に前述の大D『新和聯勝』設立の話が入ってきた。 大D派でいることは一緒に組織を出ることになると慌てた幹部は手下のクン(ラウ・カートン)に連絡を取る。
「親父かの?今?『龍頭棍』のすぐ傍ですわ。」クンが答える。今の今まで『龍頭棍』を渡せとクンに丸太で殴られつづけ、それでも術岨のように「千のナイフで殺しちゃる」と呟いていた男(ラム酒:やられていてその台詞は笑わしですか?)にも電話が掛かる。
「クンは味方じゃけ。『龍頭棍』を渡しんしゃい。」
クンは『龍頭棍』を受け取ると一言言い残して去って行った。「悪かったのう。」と。
 幹部会の席ではジミ―(ルイス・クー)が、
「んじゃが、誰が大Dを殺るちゅーんですか?ワシはどっちにもつかん。『龍頭棍』はワシが貰いますきに。」と出て行った。
 事の次第を知った大Dの手下は執拗に『龍頭棍』を追いつづけ、遂に香港に入ったところで『龍頭棍』を持ったジェット(ニック・チョン) を待ち伏せる。凄惨な戦いののち、後から追ってきたジミ―は、傷ついたジェットを車で助け出し、その懐から『龍頭棍』を奪いとった。 警察に拘束されていた阿樂は保釈金を積んで出所し、『龍頭棍』はジミーの手にあることを確認すると「次の会長はコンナじゃきに」 とジミーを言いくるめて『龍頭棍』を手にした。阿樂は大Dの保釈金を肩代わりすると、大Dとの話し合いを設ける。 「オレは会長になってシノギを広げたい、じゃけ協力してくれくれんかの?」という阿樂の申し出に、快諾する大Dであった。 会長就任の儀式は厳かにかつ伝統に沿って行なわれ、阿樂は「敵対する者に対しては先頭に立って戦う」と誓った。場面変わって、 大Dがワインバーに敵対組織のボスを招き、密談を始める。そのボスは言う。
「俺が阿樂を殺っちゃるき、コンナが阿樂を呼び出しちゃれ!」
ノコノコやって来る阿樂が店に入った途端、締まるシャッター。打ち合わせにない事態に驚く敵対組織のボス。 阿樂と大Dからメッタ挿しに遭い事切れる敵対組織のボス。なんと縄張り拡張のための阿樂と大Dの計略であったのだ。幾らかの時が過ぎ、 互いにわだかまりのなくなった阿樂と大Dは、互いに息子・カミさんを伴う家族連れで、ダムに釣りに行く。相変わらず騒ぎ立て、 釣れないことに短気を起こす大Dをにこやかに見守る阿樂。大Dのカミさんが阿樂の息子を連れて車に戻ったとき、空気は一変する。 和やかな雰囲気でいた大Dの後頭部に鈍痛が走る。阿樂が岩を振り上げて大Dの後頭部に打ち下ろしていた。阿樂は何度も何度も岩を振り下ろし、 大Dは動かなくなった。大Dは、この期に及んでも『新和聯勝』を画策した本人である。阿樂は「敵対する者に対しては先頭に立って戦う」 という誓いを守ったのだ。戻ってきた大Dのカミさんも手に掛ける阿樂だが、その姿を息子に見られてしまう。いずれにせよ、 会長として汚い仕事にも自ら率先して手を掛ける阿樂であった。彼の会長としての2年間は始まったばかりだ。

 

 とりあえず前半。起承転結の起承というか、起承の前フリ部分。ココまででも面白いことは面白いのよ。特に後半にかけて、 仲間だと思ってた大Dが阿樂暗殺と思いきや共犯のとことか、仲間だと思ってた大Dをやっぱり殺すとことか。でもね、前フリは前フリなの。 繰り返すことによる物語の面白みとか、〈 2 〉になって現れてくる監督の思いとか。そんな類がこのあとドンドン出てくる。正直言ってこの 〈 1 〉を買った配給会社は、責任を持って〈 2 〉も買うべきでなかったのかと?〈 1 〉の興行成績を見てから〈 2 〉 を考えようという姿勢かもしれないけど、興行的に失敗だった場合〈 1 〉 だけ見せてファンはモンモンでもしょうがないと割り切っているのだろうか?疑問だ?

 

〈 黒社会2 / 以和為貴 〉
 2年の月日が流れ、『和聯勝』の会長を決める「札入れ」の時が近づいた。前回の「札入れ」で協力してくれた若手も次を狙っているが、 当の阿樂も現在の地位に未練があった。クンははっきりと出馬の意思を表明する。
「親父もワシを支えてくれるんじゃろ?」それに対し阿樂は、
「ワシの助けなどいりゃーせんがな。」とお茶を濁すのであった。一方、エロVCDの販売で組織に多額の金を注ぎ込き。その地位の向上著しいジミーは、 会長の座など興味なく、もっぱら本土に建設予定の物流センターの方に気持ちが向いていた。が、Mr.ソー(チョン・シウファイ) の賭博問題をエサに本土の公安部に拘束されたジミーは、保安部のXi (ユウ・ヨン)から、
「観光なら来てもええけど、仕事で来るっちゅーのは止めといてくれんかの。」と宣言される。
「そなこというても、シュウ親分は仕事で来とるとじゃなかですか?」 食い下がるジミーにXi は言う。
「シュウ親分は会長じゃきに。アンタとは地位が天と地ほども違っちょる。」
この言葉を聞いて、是が非でもエロVCDの物流センターを建設したいジミーは、次期会長を目指すのだった。
 そのころ、数々の政敵をジェットに始末させてきた阿樂は、 今度はジミー暗殺をジェットに指図する。「次の会長はコンナじゃきに」というキマリ文句で(まるで武市と以蔵のようだ)。 また、立候補を仄めかしてしたクンに対しても「次の会長はコンナじゃきに」のキマリ文句で諦めさせ、ジミーへの妨害工作を指示する阿樂であった。
 それまでは組織内の権力闘争とは無縁であったジミーも、会長選に向けて否応なくその渦に飲み込まれ、血で手を染めてゆく。手始めに傍にいたチクリ屋(アンディ・オン)を粛清し、Mr.ソーの連れてきた金の亡者にして狂犬ボー(マーク・チェン)と共謀し18禁な手口で、阿樂の手下3人を協力者に仕立て上げる。
 ビジネス・パートナー、クオックをクンに拉致されたジミーは、ボー・ソーと共に捨て身の奪回作戦にでる。 無事クオックを開放したジミーだが、ボーはクンの刃の餌食となり、警察に追われたクンはそのまま香港から逃亡することとなる。 その報を受けた阿樂は、偶然居合わせ、気が動転して逃げ出した息子デニーを追いかけるが、後ろから追いついてきたジミーに寝返った手下どもの車に乗り込み、彼らにハンマーで撲殺された。主だったメンバーが姿を消したのち、幹部会はジミーを会長に承認した。
 その後ジミーが車を走らせていると、阿樂の後ろ楯のなくなったジェットが男たちに追われている。ジェットを自分の車に乗せ助けると、 ジミーは「困ったことがあったら、電話しいや」とメモを渡すが、車を降りたジェットはそのメモを捨てる。どの道ジェットに生きる道はないのだ。
 晴れて会長になり、中国本土の物流センター着工予定地に赴くと、そこにはXi が待っていた。Xi は『龍頭棍』をジミーに渡しこう言った。
「ワシはのう、『和聯勝』の「札入れ」には敬意を評するんじゃが、 2年後にまたアンタの元親分のようなチンピラ上がりが出てくるんは困り者じゃのう。ワシはアンタに期待しちょーよ。 アンタなら香港をええトコに変えてくれるじゃろ。アンタの一族ならそれがでくーぞ」
「会長を子どもに継がせろというーがか!ワシの息子は医者か法律家にすると決めちょーちゅうに!」慟哭するジミー。しかし流れには抗えない。二度と見つからないように『龍頭棍』 をTengの棺に納めるジミーであった。ジミーにはもうすぐ二世が誕生する。

 

 2年の歳月を経て、またまた会長の座を巡る血みどろの抗争劇ですよ。しかも前回見たようなことの繰り返し。歴史は繰り返すという言葉は思いなあ。 大Dと阿樂は結局鈍器による撲殺だし、血みどろのジェットを拾うのはジミーと決まっているのです。ただし今後は繰り返さないのかもしれない。 Mr.ソーの古い友人にして、今は中国保安部Xi 氏の尽力で『和聯勝』会長は世襲制となりそうな気配だ。バックグラウンドは語られることはないが、”中国保安部としては香港を内部から変えていき、うまく抱き込みたい”ということなんだろう。そこから先その意味することについてはあえて言わない。

 余談だが、広東語のドモリっていうものを初めて聞いた。全然広東語わからなくても意外にそう聞こえるものだ。チョン・ シウファイが役の上でそんな喋りなのだよ。やっぱり曲者だ。
「飲茶!」(柔道龍虎榜より)

posted by 森と海 at 00:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | Johnnie To
この記事へのコメント
「黒社会」はテアトル新宿の正月第2弾に決定したようです。
完全に2本で1本の映画なのに、片方しか買わないというのは、ほんとに勘弁して欲しいですよね。

それにしても、レビュー凄すぎますね。これを読んだらもう他には読む必要ないですね。

ジミーの商売はエロVCDだったんですか(笑)字幕追う時注意して観ます。
Posted by micchii at 2006年08月22日 15:36
遣り過ぎかな?という思いもあったんですが、・・・2の公開があやふやな今、遣っとくべきだろうと。・・・やっぱり遣り過ぎでしたでしょうか。

ブートレグとかポーンてありましたから多分そうだろうと。ひょっとすると『エロDVD』かも?(笑)。
Posted by 森と海 at 2006年08月22日 21:09
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