2006年10月29日

**世界基準にはまだまだだがアクションの新たな地平を切り開いたのかも〈 トム・ヤム・クン! 〉**

 待望のトニー・チャーの新作〈 トム・ヤム・クン 〉を、ようやくのこと観た。前作〈 マッハ!!!!!!!! 〉は、 極めてそのローカルな価値観とローカルな風景をバックに、延々と超人的生身アクションを見せつけてくれたが、『アクションは凄いけど、 映画としてはどうなのだ?』と思わせるストーリーテリングであった。ちなみに前作と書いたが、続編ということではない。彼の出演する映画は、 すべからくトニー・チャー映画というジャンルであるという意味合いで、前作・新作と呼んでみたりする。

 で、今度の奴はどうなのか?

 

 結論から言えば、映画の世界基準にはまだ遠い。

 今回はタイを出てオーストラリアを舞台にし、しかも倒す相手は、人種も多様・武術の流派も多様 (カポエラ使いやレスラー系も出て来るし)。そして敵黒幕が移民ギャングの一族で、ラスボスはジェンダーフリーな人という複雑具合。 なんだか盛りこみすぎ。そんなに要素をつっ込んで上手く捌けるのかと心配になったが、案の定語りとしてはグタグタ。 物語は消化不良を否めない。たぶん、〈 マッハ!!!!!!!! 〉が世界で売れたモンだから、世界で商売できるように 「俗に言うインターナショナル」を目指したんだと思うが、整理しきれてない感じもある。・・・洗練しきってしまったら、 ハリウッドに飲み込まれるだけなんだけどね。

 だが、さすがはトニー・チャー映画だけのことはある。アクションに関して言えば、 いろいろな映画からの引用も感じるが、新たな地平を創出したようだ。

 クライマックスの1人対約30人の対決、あっさり言ってしまえばネオVSスミス(リローデッドの「Me.Me.Me」のところ) のパクリ(ご丁寧にも、途中途中で何人かづつ走りこんでくるところまでマンマ)決定なのだが、こいつがスゴイ。 骨の軋むようなアクションの連続。つーか、サブミッションを大々的に導入。〈 柔道龍虎榜 〉のトニー・ レオンが慎ましく思えるほど、〈 SPL / 殺破狼 〉 のドニー・イェンに「もっと関節技を勉強しる」と言いたくなるほど。アクション・コレオグラファーにユエン・ ウーピンさんを雇っている間は、ハリウッドでこのようなアクションは撮れないのと違いますか?

TOM_YUM_GOONG-0

 

左手を踏みつけて固定、上体を捻って極め、右手をチキンウイング気味に締め上げている。通常、「待て」の状態だが、 そのままいっちゃってます。

 

 

TOM_YUM_GOONG-1

 

右手を掴んで背後に絞り、上腕にヒザ。比較的簡単な動きだからといって、良い子は真似しないように。

 

 

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-2

 

左足首を膝で挟んで、あらぬ方向(内側)に捻る。ほんとにできるのか知りませんけど。

 

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-3

 

アキレス腱締めの体勢で、しかもエビ固め。どう考えたって、こんな風には入れない?!

 

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-4

 

右足で首を固めて、その足を支点に肘を捻る。力を入れないリハでも折れそう・・・。

 

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-5

 

前ゲリに来た足を掴んで、ヒールホールドのような回転を与える。踏ん張れば筋痛めますですよ。

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-6

 

なんだか訳わからないが、卍固めの裏返しのような・・・。

 

 

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-7

 

まんまキーロックだけど、危険な角度でございます。生身の人間ならどんなに関節が柔らかくても・・・。

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-8

 

脇で右手首を極めて、そのまま捻って・・・肩が逝きますって。

 

 

 

 

 

TOM_YUM_GOONG-9

 

皆さん重傷(全治1ヵ月以上)の図。スミスなら何事も無かったかのように引き上げるのだけど。

 

 

 

 ボクは格闘のプロでもなし、合気道を習ってた訳でもなしの門外漢だけど、関節をどう捻れば痛いのかぐらいは分かるつもりだ。 藤原嘉明からヴォルグ・ハン、コピロフ等のサブミッション・スペシャリスト達はよく見てたもの。上の画像の極め方が、 実際に出来ることなのかは分からないけど、ともかく痛い。チャーってば、ここの場面では全員の骨を折ることを頑として譲らない戦い方だもの。 こんなアクション観たことない。第一次UWFの誕生の時のような興奮だ。

 とりあえずアクション(格闘シーン)に、新しい方法論が加わったことだけは確かだろう。誰が続くのか?

 

 

posted by 森と海 at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie(他)
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