2007年01月24日

**1967年 日本殺し屋年**

 1967年(昭和42年)は、映画好きな人々にとって忘れられない年である。面白い活劇を撮ることで定評のあった2人の監督が、 それそれ所属する映画製作会社において、それぞれ独自の方法論で「殺し屋」をネタに映画を作った。

 と、エラそうに書いてるけど、ボクも気付いたのはつい最近。この不思議な一致を見つけたときにゃ、「ブログのネタGET!」 と小躍りしたもんだ(爆。

 

 さて焦らしたってしょうがない。さっそくバレてみますと、その1本は御察しの通り鈴木清順監督の〈 殺しの烙印 〉 (過去ログ) 。こいつは凄かった。あまりにアブノーマルすぎて日活を追放されるという分岐点となった作品だった。もう1つは、岡本喜八監督の 〈殺人狂時代 〉。wikipediaによると当初日活で企画されたがボツり、 東宝が権利を買い取って撮影された物だ。この辺の事情はよく分からないが、あえてぶつけてきたという読みもあながち外れではないように思う。 いやはや凄いね、四社協定時代。

 岡本監督は喜劇の人である。それも辛辣な喜劇の担い手である。こんな人が「殺し屋」をテーマに撮るとどうなるかというと、・・・ 今や放送できません。地上波では音声が途切れまくって、もうなんのことやら解りません。幸い今はVideoがあります。 テレビでやらないかななどとありえないことを期待しないように。

 映画の最初に写り込むのは天本英世(死神博士!ドクター・フー!)。ドイツ語で捲くし立てるわ、自白剤を使うわ、 患者を殺し屋に仕立て上げるわで、まさにマッドサイエンティスト。この人がもしドイツ人だったら、メンゲレ役を何度となく演じたことだろう (関係ないがルックスからするとファンファンのほうが似ている。ほんとに関係ない。)。 そしてオンボロ自動車をバッスンバッスン言わせて登場するのが、瓶底メガネをかけた仲代達矢。ギョロ目を強調させる小道具の選択で、 垢抜けない愚鈍な印象を残す。ポスター等でよく見るチューブガンを構えた精悍な仲代さんはいずこ???

 ネタバレすれば、その鬱陶しいルックスとは裏腹に凄腕であることが、少しずつ明かされてくる。次々と現れる刺客(殺し屋)を、 偶然を装って返り討ちに。こういう展開を嫌がる人はいないよね。見た目野暮でもその実切れ者という「能ある鷹は爪隠す」 的人物像は庶民の憧れ。ブルース・リーだっていつもそういう展開を良しとしていたもの(ex.ドラゴンへの道)。それに、 意外に仲代さんの野暮ったい人という役が合っている。あのギョロ目は切れ者も似合うが、ちょっと眠たそうにすればダサダサだ。

 細かいことは割愛して、ラストについてちょいと考察を。

 殺し屋組織を壊滅させたあとしばらく経って、再び桔梗(仲代)が相棒の下に現れる。元のダサダサな桔梗に戻って。 そして事件の間は自分は人間ドッグに入っていて何も知らない、双子の弟が戻って来ていたはずだと、暗に弟がしたことであると示唆する。 相棒はずっこける。が、ちょっと待て!そんなこと信じていいのか?敵は観客まで煙に巻こうとしているんじゃないか?本当に弟なんていたのか? ・・・謎が謎を呼んで堂々巡り。一筋縄じゃいかない人だからなあ。

 

posted by 森と海 at 23:45 | Comment(6) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
鈴木清順監督が『ピストルオペラ』を撮った2001年もまた殺し屋年、三池監督の『殺し屋1』が・・・なんちゃって、笑。(岡本喜八監督はこの年遺作『助太刀屋助六』を撮っているんですね・・・)。
Posted by cardhu at 2007年01月25日 01:27
最近喜八監督のボックスが出たのでレンタルできるようになったから良いものの以前は置いているところは極少数だったと・・・?いやまてよVHSって出てたっけ??おいら最初に観た記憶がこんがらがっててなんかTV放送してたようなしてなかったような・・・うーんもうよく解らない(笑)というくらい死神博士が最高にいかしてた映画でしたな。
ともかく80年代のアニメ業界にも意外なカタチで影響を及ぼしている作品ということで結構その線でも楽しめちゃうのであった。
Posted by tonbori at 2007年01月25日 02:06
>cardhuサマ
殺し屋年の裏には、62年より始まった世界的ヒットシリーズの影があったりなかったり・・・。今も続いているもんね。

>tonboriサマ
たしかテープは出ていない。皿が最近出ただけ。テレビではピー音ばっかで面白ないと思う。〈 ピエロ・ル・フー 〉ぐらいの危険性で〈 唖侍 〉よりは全然大丈夫。
Posted by 森と海 at 2007年01月25日 22:53
あのぉ・・・
DVD発売される前にVHSでレンタルして観ました。

ゴードンジンとウォッカとキナ・リレをシェークしてレモン皮の薄切りを添えたマティーニを注文するあの方のシリーズですね、笑。
Posted by cardhu at 2007年01月25日 23:32
うちの田舎にゃVHS無かった。どんだけ田舎だよ!

そうそう引退を噂されてる(つーか本決まり)の頭部より胸部が豊かな人のやつです。
Posted by 森と海 at 2007年01月27日 23:39
あの当時(60年代)は『百発百中』とか『国際秘密警察』シリーズとか作られていたしねえ。そういうのが流行りだったのもあるのにコレを撮る喜八監督はステキ(笑)
しかもそのあとに『日本でいちばん長い日』を撮っちゃうところがまた凄い。
Posted by tonbori at 2007年01月29日 23:25
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