2004年10月01日

**復習の時間ですDAWN OF THE DEAD**

「ずばり言うわよ、『ゾンビ』はホラーじゃない!」
「じゃあなんなの?」って聞かれたらこう言おう。
「生理的に受付けない場面があるだけなの!」

 これは、ボクの脳内妄想座談会で行われた会話で、マスターたるボクにも非常に納得できる内容だ。

 吸血鬼や狼男は、尋常ではない力を発揮する。空を飛んだり、筋力が想像を越えていたり。しかし、LivingDead(ゾンビ) はどうだろう。動きはのろいし、力だって人並み。不意打ちで後ろからというような不測の事態でない限り、1対1だったら対処できそうだ。 銃のある国なら、よく狙いをつければいいし、銃のないボクらのような国の住民なら、何でもいいから頭を強くひっぱたきゃいい。 充分対処できそうだね。(実際には1対1の局面なんてあんまりないと思うほど数が多いけど。)
 じゃあ、何で、そんなにコワイ存在なのか?

 これはボクに推論なのだけど、「人は死体(死骸)のなかで、いちばんイヤなのは同属の人間の死体だ」ということなのだと思う。

 想像してほしい。
 昆虫の死骸コワイか?「あーあ、掃除しなきゃ」ぐらいにしか感じないだろう。
 トロ箱の中に氷漬けになった魚は?むしろ旨そうだ。
 巣から落ちた雛の死骸は?ちょっとかわいそう。
 犬は?ビミョーだな。
 猫は?これもビミョー。この2つは飼ってればかわいそう、無縁ならまあどうでもいいのかな。
 人は?肉親とか親しい人ならかなしいー。無縁なら近づきたくもないとならないかい?

 道端で人が倒れてるとしよう。明らかにおかしい。微動だにしない。呼吸による胸の動きもない。こんな場合に「大丈夫ですか?」 と抱き起こす勇気あるかい?

 人は死という概念を認識していて、それを恐れる生き物だ。だから死に遭遇するとパニックを起こすことも知っていて、 それを避けようとする。生理的に受付けない瞬間だ。

zombie  もともとゾンビっていうのは、ブードゥー教における奥義で、〈Dawn o fthe Dead〉がオリジナルではない。

 〈Dawn o fthe Dead〉では、マジックや呪いではなく、原因不明のままただ死者が歩き出したとしか説明していない。 本編でもそれを説明するがごとく、ヒスパニックの住むアパートをSWATが襲撃して、さもそこが諸悪の根源であるかと見せかけてる。 僧侶の登場およびその発言で、それは思い違いだと、SWAT隊と観ている物に教えている。原因がわからない=無力感に襲われるわけだ。 SWAT隊と一緒に我々観ている物まで。

 それじゃぁ、ジョージ・A・ロメロの〈DAWN OF THE DEAD〉は、 気持ち悪いだけの嫌がらせムービーかというとそうじゃない。
原因のわからないまま死者が歩き出し、あまつさえ人を襲っている。根本的な対処法は見つかっていないという極限状況で、人々がどう生き、 どう死んでいこうかという心理状態を丹念に描いている。「どこか安全なところがあるはずだ」と不確かな情報を元に川を下っていくもの、 ヘリで安全な上空からその場所を探すもの、状況の判断が甘くつかの間のハンティング気分を楽しむ田舎もの、 それは極限状況に表れる人間心理そのものではないか。

 いうならば、災害モノ・天変地異モノとまったく一緒だ。

 〈ディープ・インパクト〉のラスト、2家族のうちバイクに乗った2人だけが山に登って助かるのと、〈ゾンビ〉 の主役達がヘリで安住の地を探して飛び回るのは、同じことじゃないか。

 〈回路〉で、麻生久美子がひとり生きようと決意するのと、ゲイラン・ロスがヘリでひとり飛び立とうとすることに違いがあるか?(あ、 〈回路〉はスリラーだ。たとえがわるい。)

 〈バトル・ロワイヤル〉(これも天災モノではないが、理不尽な理由で巻き込まれ、自分ではいかんともしがたい) の灯台での仲間割れは、ショッピングセンターを襲撃するヘルズ・エンジェルズの襲撃理由(自分だけがいい思いをしたいという自己チュー) を何ら変わりはない。

 〈デイ・アフター・トゥモロー〉で・・・。(以下略)

 うむ、ひとりで勝手に納得しておこう。

 それ以外にも、”心理状態を丹念に描”きつつ、死者との共存を訴える討論番組を挿入してみたりするもんだから、 余計にボクにとっては終末パニックモノに見えた。

 ホラーのふりをしつつも、「ゾンビになった仲間との別れ」、「自分自身で決めよう(自決)とする苦悩」、 「希望を信じて未来の闇にヘリで飛び立つ決意」、これを極限心理ドラマと呼ばずになんと呼ぶよ。

 ジェイソンから逃げたり、フレディを撃退するのとは訳がちがう。
ボクのよく行くTSUTAYA殿、陳列場所をホラー棚からパニック棚に移してね。いやホントに。

 余談だが、歩く死者君たちはグルメ過ぎだ。生き造り、いや踊り食いじゃなきゃ食べないなんて。
ボクなんか切り身になったトロに涎流すのに、死んじゃったら見向きもしなくなる。
 熊を見習え。熊は死肉も食うぞ!
 おかげで、ヘリボーイは半食われのゾンビになってしまったじゃないか!

追記

 今度の〈Land of the Dead〉は、銃を使うというが、それじゃ暴動パニックものなのか?

 
posted by 森と海 at 21:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | Movie(米)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。