2005年07月03日

**kairo**

 コッチはあんまり雨降らないの。
 その上、気温は連日30度。でも今日は少し降ったんです。

 こういう暑いときは、〈トゥナイト〉の稲川淳二の心霊特集ではないが、ナーンカないかなと思ったところ、〈回路〉にぶつかりました。

 監督/脚本  黒沢清   加藤晴彦 麻生久美子 小雪 武田真治 菅田俊 役所広司

 いまや、パクられまくって珍しくもないネットサイトによる恐怖伝播もの。ボクの記憶が間違っていなければ、 こういう設定の走りだと思います。まあ、この作品中ではそれが唯一ではなく、恐怖の伝播経路(開かずの間とか) はほかにも3つほどありますが。

kairo  この作品、ボクは世間で云うところの黒沢清〈神経ホラー〉シリーズとは別に、 〈CURE/キュア〉・〈カリスマ〉と一括りにして、恐怖伝播ホラー3部作と勝手に位置付けております。 年代が新しくなるに連れて、その範囲が拡大していると。ネタバレすれば、〈回路〉では、なんと世界規模の災厄なってるぞと。

 ホラーですから、怖さはどうかというと、・・・これがまたコワイ。なんというか、得体のしれないコワサ。ぼんやりぼやけた影が、 よろよろ歩いてコッチに向かってくるのだが、こいつが途中でよろめきやがります。
「な、なにすんねん!(なぜか関西弁」
 あと、観た人には分かる例のワンカットの落下シーン。
「うわ、あかんがな!(なぜか関西弁」
 いままで観たことのなかった怖い絵が目白押しです。

 出演者がほぼ皆若手、しかも、加藤君に至っては初主演。ということで、「演技がつたない」だの「台詞が棒読み」 だの批判も相次いでますが、かえって加藤君の素の演技は、今時の抑揚のないしゃべりの若者そのもので、これはこれでOKでしょう。 現代物だもの。時代物でこうであったら容赦はしません(笑。あと気になるといえば気になるのが、なんとも整合性のない脚本で、 いきなり時系列を省略したような飛ばし方。加藤君と小雪がはじめて出会って、自己紹介したら加藤君、苗字でなく名前で呼んじゃいます。 しかもその次のシーンでは、すでに呼び捨て。今時の若い奴は、親和性が高いのでしょうか(笑?こちとらオッサンなので分かりませんが、 そういうなにか噛み合わない部分が、違和感バリバリの不条理となって異様な世界観を醸し出します。

 劇中、仮説だと前置きありながら、武田扮する院生の説明、「あの世が幽霊でいっぱいになったら、 ぎゅうぎゅうに詰めても入りきらなくなったら、こっちに来るしかない。」というのが、ただ一つの現象の説明ですが、これって、〈ゾンビ〉の” あの世が死人でいっぱいになったから、死人がこっちに溢れて来た”と同じです。
 ここで気付かねばなりません。

 この映画は単なるホラーではなく、終末ものであるということを。

 前半は、”死は永遠の孤独”をキーワードに、おどろおどろしい描写が繰り返され、一人また一人と消えてゆきます。 いつも通りの地域限定型ホラーかと思いきや、その流れは一段と加速し、街に人影がなくなります。銀座に人が居ないのですよ。 ロンドンを無人に描いたのは〈28日後〉でしたが、こっちは銀座ですから。朝一でも誰かしら居るぞ、あの街は。
 この辺からホラーの度合いは薄れ、「おいおい、どう収拾するの?」という疑問が浮かび始めます。そこにトドメを刺すのが、 炎上するレシプロ機の墜落です。これが、〈カリスマ〉の炎上する都市以上にインパクトが大きい。大風呂敷の内側まで見せてくれて、 地球規模の災厄なんだと認識させてくれます。

 こんな風に書いていくとかなり悲惨なんですが、ラストはなぜかしら希望があるんで、見る人によっちゃ、「なんのこっちゃ分からん?」 になってしまうのかもしれません。恐怖伝播ホラー3部作は、ラストが悲惨なくせにサバサバしちゃっていて、そこが好きなんですわ(笑。 興行的には振るわなかったようですけど・・・。

 ボクは大いに楽しめました。オマケにPCで観たんで、もう大ハマリ。

 
posted by 森と海 at 00:23 | Comment(2) | TrackBack(3) | Movie(邦)
この記事へのコメント
「回路」はコワイというより、あぁこういう
世界観ってアリって思いました。
すぐ自殺しちゃうようなバカな子どもや
おじさんにぜひみていただきたい。
死んでも地獄なのだよと。むしろ死んだほうが
つらいのだと。
Posted by 静馬 at 2005年08月08日 14:26
うーん、この死後の世界は、極楽浄土も天国も輪廻転生もない永遠孤独なのだって?どっちかっていうと現世のほうがそれに近いような気もします。だから人は、たどたどしくも他者とのかかわりを紡いでいこうとすると。
Posted by forestsea(主) at 2005年08月08日 22:07
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「回路」短評
Excerpt: 以前よくお邪魔する森と海さんの「もしかすると日刊【考える葦】」でこいつの話題が出ていておいら黒沢さんの映画って基本的に観ている数が少ない上にホラーも基本的にビデオスルーな人のため長らくそのまんまだった..
Weblog: web-tonbori堂ブログ
Tracked: 2005-08-04 00:26

「回路」DVDにて
Excerpt: DVDで『回路』を観ました。 監督は「黒沢清」、出演に「麻生久美子」「加藤晴彦」「小雪」「有坂来瞳」など。 『工藤ミチ(麻生久美子)』の同僚の連絡が取れなくなっていた。心配した『ミチ』は彼のアパ..
Weblog: xina-shinのぷちシネマレビュー?
Tracked: 2005-08-22 21:23

回路
Excerpt: 監督 黒沢清 主演 麻生久美子 2000年 日本映画 118分 ホラー 採点★★★★★ 人間は孤独である。友達・親友・恋人、どんなに願おうとその絆は儚くおぼろげで、その事実を怖れ目を背けるかのごとく..
Weblog: Subterranean サブタレイニアン
Tracked: 2006-05-22 20:32
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