2007年08月15日

**見たいモノを撮れるとは幸せなことだ 〈 ミュンヘン 〉**

 えーと、お久しぶりです、生きてます森と海です。

 仕事も私事も忙しかったんで、長いこと更新出来ませんでした。しかも映画自体、劇場はおろかDVDもあまり観れてません。 そんな中で、少ない鑑賞タイトルから、選りすぐれず書いてます(泣。

 で、〈 ミュンヘン 〉ですが、実は海外版DVDを遥か昔に入手して観てまして(トーゼン英語字幕で鑑賞です)、 劇場では見逃しまして。ほら、ボクって英検18級ですから(って、どんなだよ)、自分の解釈があっているのか不安でしたので、 改めて日本版DVDを観た次第。

 

 基本的に、解釈合ってました。いいぞいいぞ英検18級(って、だからそれはなんなんだ?)。

 スティーブン・"BIG"・スピルバーグ(昔、宝島のムック本でそう呼ばれた)さんは、 本音と建前の共存する映画ばかり撮っているようです。しかも、その本音の部分でさえ、メジャースタジオから承認されるという幸せなお方。 盟友ジョージ・ルーカスも好き勝手に映画撮っているけど、彼の場合はあくまで世界一金の掛かったインディーズ映画ということからすれば、 スピの幸運とは監督と呼ばれる人にとって羨望の眼差しでしょう。何しろ〈 激突!〉からして、「こんなシチュエーションは面白いだろう」 って撮った映画が、大衆に受け入れられたのですから。逆にいうと、マーケットの要求することが分かっている、 極めて優秀なトレンドウォッチャーなのかも知れません。

 小難しいことは抜きにして言えば、〈 ミュンヘン 〉は、「復讐の果てに平和は訪れない」 という極めて当たり前なことを主題に見せながら、一方で自分の観たい絵を織り込みつつ、やりたかった様式を実現した映画と思いますよ。 〈マイノリティー・リポート 〉が近未来SFの振りしてアガサ・クリスティーの映画を目指したり、〈 宇宙戦争 〉 が家族愛を謳う振りして巨大なものに蹂躙される人間(怪獣映画?)を描いていたりすることと同様に。

 観たい絵って言うのは、例えば銃弾が貫通した頬の銃創をこれ見よがしに映してみたり、オランダの女ヒットマンの最後の姿だったり。 言っときますけど、残忍とは違いますよ、スピさんは。残酷な絵を喜ぶのと、根っからの残忍な性格というのは違います。 ネット世界でもあるでしょう、普通の人がチェチェンの首切り動画を探したりするのと同じ。要は"BIG"なんです。"BIG"とはあの映画と同じく大きな子供の意。

 この映画で、スピが目指したのはずばりスパイ映画。象徴的なのは、フランスの情報屋のボス『パパ』の役に、 誰を起用したのかというところであります。『パパ』の役には、〈 RONIN 〉でデ・ ニーロを匿ったオッちゃんが起用されているじゃないのさ。そう、スピが目指したのは、ジョン・フランケンハイマーが得意としたスパイ映画、 そいつをモノにしたろうという野心が丸見えなのです。野心というとヤらしいけど、ほぼすべての栄光を手に入れたスピとしては、 このくらいの目的意識がないと、おいそれと撮れないでしょう。幸いなことに片腕ヤヌス・カミンスキーもこのジャンルは好きらしく、 銀残しのようなドキュメント風の絵柄を好んでいたりして・・・。

 主題の部分に関しては、彼らにはしようが無いことですが、極当たり前なことを当たり前に語るというスタンスから離れられず、 父さんの〈 マッスル・モンク 〉のブットビ具合には比べ様もありません。〈 マッスル・モンク 〉 についてはまたいずれ。まあ、変にブッ飛ンでいても、肝心の北米圏で総スカンを食らうのは必死ですから、 あのくらいの苦悩でよかったのかも?!

 ということで、近年大きなおこちゃまと化しているスピルバーグさんは、観たい絵とやりたい様式に挑戦し、 そのことごとくが受け入れられている真に幸運の持主(黒沢清さんあたりとは合い見えないよな)なのですが、 売れることにも貪欲な人でありまして。さて、マイケル・ベイ+スティーブン・"BIG"・スピルバーグのアレは、どないなっとるんでしょうか?

 アレについてはまた明日にでも・・・。

 

posted by 森と海 at 00:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | Movie(米)
この記事へのコメント
やっと観ましたぞ。
で土曜にグラインドハウスを観て思ったけれどタラの通る道は既にスピがいたのか!ってこと(笑)
けどクエンティンはダイアローグが好きなのでそこんところで特化していけばというのが良く解ったデス。

あとね、オチは微妙に違うのよね。いやまあ映画と原作では違って当たり前なんだけど・・・。まあそれはそのうちにでも。
Posted by tonbori at 2007年08月26日 23:58
スピちゃんとタラちゃんとの違いは、スピちゃんがあっさり好きなもの撮って巨匠になったことに対し、タラちゃんは幾つになってもバブーとしか言わない、もとい幾つになっても「オレこんな映画見てたんだゼ」と場末の映画館通いから抜け出せない映画作りしかできないという点が非常に大きい。
まあ、個人的な感想を言わせてもらえば、北米仕様の〈 グラインドハウス 〉は見たくて堪らん。
Posted by 森と海 at 2007年08月27日 22:54
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