2005年07月28日

**〈デビルマン〉鑑賞後、1夜明けて**

 昨夜、あの〈デビルマン〉を観た。

 一晩寝て、ようやく冷静に語ることができるような気がする。

 

 まずは双子だけど、言われているほど悪くない。語弊がないように言っとくけど、ダメなことは確かなんだ。しかし、彼らの初出演が、 学園物だとしたら、多少シュール気味ではあるが見られなくはない。新人のタレントが出ているようなTVの学園物ではよくある話だ。ただ、 〈デビルマン〉とりわけ不動明には、激しい感情の発現が度々訪れる。激しい感情を表現することは難しい。日本人の感情表現というものは、 普段抑制されているためだ。豊かな想像力無くしては、あの不動明は演じられない。牧村のおじさんに、変化した腕を見られたときの「あーっ!」 は、彼には想像もつかなかったのだろう。それは監督が細かく説明すべき場面だった。もしくは説明しても、理解されなかったのか? いずれにせよ、彼には荷の重い役であったことは間違いない。

 演技はさておき、彼らはカツゼツも悪く、幾度となく噛んでいる。噛んだ台詞は最低限撮りなおすのがTVドラマ。その点でも、 TVドラマの質をはるかに下回っている。が、噛んでいるのは彼らだけでなく、芸能界の先輩である酒井彩名さえもそうだ。

 台詞回しの面から言えば、阿木耀子ってどうなのだろう?彼女の出ているドラマを見るたびに思うのだが、場違いに感じないかい? これはボクだけかもしれないが、彼女が台詞を発する度に、「シュールの海に裸で投げ出された」ような感覚に襲われ、寒寒とする。 ほんとに皆に訊きたい。役者として彼女はいいの?

 シレーヌの役なんだが、たしか「私(富永愛)しかやれるものはいない」と豪語してたよね。実写部分の衣装はなんなのさ? あの変なワンピース型の衣装について意見はなかったのかい?シレーヌを知っていれば、ビキニ型の衣装に変えてもらうべきだったろう。 薄い胸であれ、女性の体のラインを強調させなければ、草薙剛がシレーヌを演じていると思われたって仕方がない。

 CG特撮部分、頑張ったねといいたい、が、その構成はゲームのイベントムービーとさほど変わりがない。 カメラの位置というものがどこかでみた映像と一緒なのである。同じ様に見えて、 ゲームと映画では要求される解像度は10数倍ほど違うことを鑑みれば、あの製作費(10億)でよくぞここまでと誉めるべきだろうか。

 脚本は何度もリライトされたと聞く。なるほど、原作のいいとこ取りに無理やり繋げたホンである。ただ一点、 これはボクだけかも知れないが、ラストは、飛鳥と明の2人に水平線から現れる神の光(原作のまま)でよかったのではないか。 ミーコとススムの2人で締めくくっているが、人間はあの時点で生き残ってはいけない。たとえミーコの庇護のもとであったにせよ。

 人間が生き残っているというラストが”希望”であると作り手たちは考えたのであろうが、 地球規模の浄化こそ地球という生命にとっての”希望”であると原作からは読み取れるのだ。

 こうやっていろいろな事柄に眼を向けると、「事情」・「理由」・「配慮」という言葉の前に、「大人の」 という冠詞が付いてまわることに気付く。けして、那須監督一人を責められるものではないのだ。多くの映画の監督を務めてきた那須氏に、 双子はこの映画に耐えられるのかどうかぐらい分かっていたはずだ。原作を誰よりも理解する永井豪先生には、脚本を読んだ段階で、 この予算と時間で描ききれるかどうかぐらい感じえたはずだ。クリエイトする側の諦観しかこの映画からは伝わってこない。

 むしろボクらが胸に刻んでおかねばならない名は、製作側の人物である。

  • 製作総指揮/泊 懋 (子供向けの映画を数多く手がける。前述のラストは、正に子供向けの”希望”である。)
  •  企画/ 遠藤茂行 森下孝三
  •  プロデューサー/ 冨永理生子 松井俊之 北崎広実
  •  「デビルマン」 製作委員会/東映・東映アニメーション・東映ビデオ・テレビ朝日・バンダイ (各会社の委員会責任者は公表されていない。)

 子供向けに作ったというならそれはそれでよかった。PG-12という縛りも無くすべく徹底的に残酷シーンもカットして。 大人にも見てもらおうという色気を出さなければ。

 映画ブログと銘打ったここで書いたものか?それとも、映画ネタブログと言い張るもしかして日刊【考える葦】に書いたものか?少々悩んだが、故那須監督に敬意を表して、ここ記す。  
posted by 森と海 at 22:42 | Comment(8) | TrackBack(7) | Movie(邦)
この記事へのコメント
製作側の責任は凄く重大だと思う。
こんな映画を送り出したことをおいら達は胸に刻んでおかなければならない。
特にバンダイあたりは調子に乗りすぎ。
「デビルマン」というコンテンツに関わる気ならそれまで培ってきたモノをなんで提供(製作方法や人的支援その他諸々)出来なかったのか?
いわんや東映の方々には小一時間コース。
ラストについては禿同。それだけでもやってれば最後に希望が残ったと思われ。
Posted by tonbori at 2005年07月28日 23:38
叩く気にもならんと書いておいて、人のとこには書く〜。
細かいとこは書いてらっしゃる通りとして、
最近、思うのは「種」と「種の運命」問題も絡んで、なんか「戦い」とか「そこで人が死ぬ」ってことを、わかりもせんのにわかったげーに描くの止めてくれってこと。
それが何かを当時、徹底的に追求したのが「デビルマン」だったのに、その名前使ってわかったげごっこしないでくれ、その程度のモノの考えで「希望」なんて、今一番難しい言葉を語ろうとしないでくれという感じ。
なんかすごく不快なのよ。
↑まとまりなくてスマヌ。
Posted by acoyo at 2005年07月29日 00:36
うーん、ここまで森と海さんに書かせてしまうこの映画、逆になんだか見たくなってきました(^^;。「シベリア超特急」も同じ理由でつい見ちゃったんですよね。マゾっ気があるんでしょうかしらん。
Posted by kiyotayoki at 2005年07月29日 09:27
>tonbori堂サマ
ボクは、未確認ながらテレ朝がアヤシイと思ってる。アイドル映画にしたかったんじゃないかって?もし当たれば、双子の起用を独占する目論見があったんではないかと。
>acoサマ
ボクの書き方(稚拙な認識と無責任な語彙の使用法)に怒ってます?まあ、いいほうに取っておくことを前提に記述しますが、製作側の余りの子供だましには閉口いたします。だって、現実にボクらがデビルマンに邂逅したのは、子供の頃だったのだし。
>kiyotayokiサマ
お恥ずかしい。スルーすればいいのに、こんなにマジになっちゃって。しかし、那須監督が一方的に責められていた現状は、少々違うんじゃないと思いましたもので。「シベ超」は全然害はないでしょ。水野さんが、オリエント急行と自分の軍服姿が好きなだけだから。
Posted by forestsea(主) at 2005年07月29日 21:59
いえいえ何も怒ってなどおりませぬ(藁)。
「希望」をそんな風に使うなと書いたのは、製作者側に向けてで、forest-seaさんも
>人間はあの時点で生き残ってはいけない。
と書いてらしたでしょ。私もそれは何より言いたい。んで。私が怒ってるだけできちんと書けなかったこと書いてくれたんで、そこに心より感謝して、私は単に怒りちらしただけという。しかも、人んとこで(大藁)。
製作した人に関しては、あなたがたがデビルマンから得たのは、あれだけのことか、と、私は思ったです。そこが種も同じで、あなたがたがガンダムから得たのは、あれだけのことか、と。
長々書いてスマヌ。
Posted by acoyo at 2005年07月30日 01:01
種は見てないので、言わんとするところが少々分かりませんが、tonbori堂さんが言うようにバンダイあたりの志が低くなっていることと同様にサンライズも同じだということですかねえ。そうなるとエライっこっです。
Posted by forestsea(主) at 2005年08月01日 00:02
後日、「鬼武者2」(だったかな)というゲームのオープニングアニメを見て、CG部門への評価も下がりました。同じじゃん!キャラまで!トラバします。
Posted by denkihanabi at 2005年08月05日 00:38
あ、どもども。
想像の域を脱していないのですが、この映画が万が一ヒットした場合、バンダイはオンラインゲームでも作る気だったのかもしれません。最初は人間としてプレーヤーは参加し、ある日、無差別合体攻撃でデーモンがデビルマンになり、ハルマゲドンを体験するというような。物語の枝葉は、ゲームで描くという割り切りだったのかもと思うようになりました。
Posted by forestsea(主) at 2005年08月05日 21:47
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