2007年10月09日

**ジャパニーズ女ハードボイルド 〈 女がいちばん似合う職業 〉**

 という訳で、前回のエントリーで、 意図的がどうか自分でも分からないけど、全く触れることの無かった「BLOODY BENTEN」 こと血まみれ弁天こと桃井ネーさんのエラクなつかしい奴。

 型破りな女デカがいました。オマケに魅力的。新宿で妊婦ばかりを殺害する猟奇殺人が発生、警察は内偵を進め、 一人の青年を被疑者として絞り込みますが尻尾を掴めない。女デカは、型破りな方法で青年を容疑者と特定し、直接対決しましたとさ。

 ようやくするとこれだけ。これだけの話のために、監督の黒沢(ころがし涼太)直輔さんこそ知らないけど、脚本丸山昇一・ 撮影仙元誠三というタレントが揃ってしまった。丸山さんと仙元さんといえば、 ここにもう一人村川透さんを加えてしまうと在る俳優の名が浮かんでくる。

 松田優作。

 3人とも優作さんと仕事をする機会が滅法多かった。優作さんは、そういったハードな作品に限定されるだけの小さな器では無かったが、 前述の3人と仕事をすると飛躍的に湯で加減が固くなった。丸山さんは台詞の中のハードボイルド文法に長けた人だし、仙元さんは画質・ 画角の部分でハードボイルドセオリーに忠実な人、そんな人が2人も揃ってしまったら・・・。

 コレはもう、コントで言うところの「もしも」シリーズですよ。「もしも松田優作が女だったら・・・?」こそが、 〈女がいちばん似合う職業 〉の裏テーマ。というか、〈 遊戯 〉シリーズ女版ですってとこか。

THE_MOST_SUITABLE_PROFESSION-0

 

 それが証拠に、丸山脚本は例によって、説明不可能な人の感情に、説明不可能な人々の係わり合いのオンパレード。一見さんお断り・ トーシロ排除・メロドラマ厳禁な主張を繰り返す。まあ、免疫ない人には、「意味判らなくてつまらん」といわれても仕方がない。しかし、 この甘ったるいTVドラマ溢れる(公開当時90年)日本において、気骨在る固ゆでを作ろうと思ったら、 概念をぶち壊して虚構の人物像を作り上げるより仕様がないのでさぁ。

 で、桃井ネーさんはというと、製作者の意図を知ってか知らずか、唯我独尊の道を貫く。もうね、全編桃井は訳よ。論理筋道関係なしで、 いつもの桃井調。アンニュイと呼べば聞こえはいいが、悪く言えば下品。しかしそれが不思議と脚本に合ってしまっている。 絵を書いた人当たりです。

 BIGSHOTが絡んでいる割に銃周りが貧相とか、桃井のアクションはなっていないとか、 そんなことは終盤15分を見ればもうどうでも良くなる。「ハードボイルドとは銃撃戦でもアクションでもない、ハードボイルドとは生き方だ!」 ってことを、一番理解できたのが、結局この映画だった。そういう意味では、 ヘタに動けて格好良かった優作さんが若いうちにこの系統の作品を残したが、 もっと生きてジジイになったのちに再度この手の作品を撮影できていたらなあ、とつくづく悔やませる。

 

posted by 森と海 at 22:45 | Comment(6) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
これもうどんくらい前だっけか。
随分懐かしい気がするなあ。また久しぶりに観たくなったけど多分近所の某Tにはないだろうなあ。

だけど東映セントラルの空気が満ち満ちていたけど、微妙に違っていたのは多分姐さんと存在と監督の色なのかなと。
Posted by tonbori at 2007年10月10日 00:10
>tonboriサマ
90年公開だからかれこれ17年前。ネーさんも40前で色香も最高潮の時期でありました。
東映セントラルって名詞も久しぶりに聞いたなあ。
Posted by 森と海 at 2007年10月10日 19:35
だいぶ昔に観たっきりなので、細かい部分は失念してしまいましたが、橋爪功さんって上手いなぁ〜と最初に思ったのはこの映画でした。

篠原涼子の「アンフェア」観た時にまず思い出したのもこの映画でしたね。桃井姉さんと比べたら可哀想ですが。(笑)
Posted by samurai-kyousuke at 2007年10月15日 23:59
>samurai-kyousukeサマ
橋爪功さんは、2時間サスペンスでも上手いなあと唸らせますけど、本作では一風毛色を変えたキャラでもやっぱり上手いッす。粗暴な感じが素晴らしい。
「アンフェア」は観てないですが、所詮綺麗なイメージをキープした女優さんには、無理でしょう。
Posted by 森と海 at 2007年10月16日 20:25
これ若気の至り時代に観たくって観てなかったのが、最近、ケーブルでやってて、今はHDDの中(藁)。オモロかったらTBします。
(ちらりと観た感じでは、おっしゃる通り、橋爪がグー)
んで、桃井かおりは働いてる女が観て、一切腹の立たない「働いてる」女やってくれる点で有り難いなと(今ややや過去形か)。キーワードは、その下品ぎりぎりってとこ。「クロスファイヤ」も、映画はどーしよもうなかったけど、彼女はスキだった。
その「働く女の身も蓋もないよに見えて、実はトーゼン」のリアリティっての、欧米女優は当たり前でクリアしてくるけど、日本の女優さんには少ないなあ。篠原凉子は……マジちょっと困る(藁)。
Posted by acoyo at 2007年11月10日 18:19
篠原涼子を責めても・・・、元々東京パフォーマンスドールだし(爆。
例えばエグザイルのメンバーが映画に出演して、演技がなってないからって怒ります?しょうがねーやぐらいでしょ。
桃井のネーさんはやはり出から違いますもん。

Posted by 森と海 at 2007年11月12日 22:06
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