2007年12月04日

**最高傑作って呼び声の高い〈 叫 〉を観たけど、この調子じゃ最新作の度に同じこと言われそうな・・・**

 という訳で、〈 LOFT 〉もまだ観ていないというのに〈 叫 〉を観ちゃったわけですが。・・・〈 LOFT 〉 の方も既に待機済み遠からず観ますので、それほど大きな問題ではないと思っていたのです。

 が、黒沢清の過去の作品の集大成みたいな煽りに、順番間違ったかなと少々焦り気味。

SAKEBI-0

 

 それでだ、新マンの上原正三脚本ではないけど、何回人類を絶滅させれば気が済むのだ、黒沢カントクは? 例によってラストはまたまた週末終末っぽいじゃないのさ。確かにカントクの作品を観つづけてきた人にとっては、アノ場面はあれ、 アノ台詞はあの人物の言葉とくすぐりも多いのだけれど、 もういい加減そのパターンは止めたらどうってちょこっとだけ思う。ちょこっとって言うのはかく言うボクも、 そのくすぐりが嬉しかったりするわけで、全くなくなるのは寂しいかな(笑。

 今回の人類に訪れる災厄は、深層心理・暴力衝動を浮かび上がらせる人でも、アッチで満員になって溢れ返った人でもなく、 この世に大きな未練を残して亡くなった葉月里緒奈さん(仮名)でして、言ってみれば貞子のような可哀想なお方です。というかまんまでしょ! 漢字二文字で書くと”怨念”というイヤーな想念であります。で、もう一つ書いとくと、 プロデューサーは一瀬隆重氏なんだよね。このPがまた好きだから。ホラーというジャンルが好きだし、 負の想念がまた輪を掛けて好きな人なんですよ(作品群をみるとそうとしか思えない)。ひょっとしてひょっとすると、 その絵づくりは絶賛されているけど大ヒットには恵まれないカントクに、 プロデューサー側から得意分野をこのネタでってオファーがあったのかもしれない。カントクは騒がれているわりにお金なさそうだし。 今回の作品だって、〈 回路 〉あたりと比べると予算は一ランク低そう(終末部分が決定的に貧相なのね)。まあ、 映画は予算じゃないのだけれど・・・。

SAKEBI-1

 御覧のとおり災厄の当人は葉月里緒奈さん(仮名)なんですけど、すべてを無に帰すほどの巨大な怨念はありそうもないですよ。 「わたしも死んだから、みんな死んでください」なんて、孤独に亡くなったからってそんな言い訳は通用しません。 孤独死の老人がどれほど多くいるのかと考えれば、三回も四回も人類は絶滅しているはず。彼女の場合は、 ハワイの寿司職人を恨むぐらいでちょうどいいと思っちょります(←何故訛る)。

 冗談はさておき、前々から黒沢作品は説明不可能な展開が多く、 それが逆に得も言えぬ魅力となっておりますが、〈 叫 〉では説明云々というより、ゴーイン過ぎる気がしないでもありません。 彼女は通称幽霊と呼ばれる存在でして、 当初のやり方としてはとり憑いて殺人を犯させるという社会生活の隅っこに立ち位置を置いた現実的中道路線をとっていました。だからこそ、 警察管たる役所広司さんの出番もあったのです。それが終盤になると、自ら手を下し始めるのです。幽霊が直接となると警察の出番はありません。 霊能者の出番となりますが、それやったらギャグでしょう。また、その頃には物語も佳境に入っていて、 役所さん自体がすでに警官ではなくなってます。じゃあなにになってたのかって?うーん、霊能探偵ってとこですかねー。いずれにせよ、 幽霊が直接襲ってくるというプロットは、テレビから出てくる貞子さんや家に住み着いている伽椰子さんを思い出させます。

 でも〈 回路 〉だって直接来たじゃないというマニアなお方もいらっしゃるでしょうが、 あれは迫ってきただけで決定的な生命剥奪の場面はあえて映し出さないでしょ。カントクはそのくらいのさじ加減はしてきたのですよ。 それをやっちゃあお終ぇーよという感覚って大事なんです。だから説明不可能な微妙な展開がよかったりしたわけです。 アメリカじゃダメですけど。

 そんなこんなで、カントクの持ち企画というよりPからの持込企画という風に感じた次第デス。P臭が強いとでもいいますか。そんな作品がいくらなんでも、 タイトルのように呼ばれるのはちょっと違うのかなと?マークが並んでしまいました。最後になっちゃったけどホラーとしての水準は高い位置にありますよ。ただっぽくないと云うだけで。

 ここからは独り言になりますが、なんだかんだ言って日本のホラーを語るうえで外せない人になっちゃいましたね。黒沢カントクもそうだけどそれ以上に一瀬隆重Pは。

 

 ほんじゃ!(←しばらく使ってみようか(爆)

 

posted by 森と海 at 22:30 | Comment(3) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
突然で申しわけありません。現在2007年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票にご参加いただくようよろしくお願いいたします。なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
Posted by 日本インターネット映画大賞 at 2007年12月24日 09:22
はじめまして、というか、以前ryoddaというハンドルネームでお邪魔したものでvahoと申します。

叫を先に観てしまったのは少し不幸かもしれなかったですね。笑
私はLOFTも叫も初見時には熱狂したものですが、今にして思うと両作とも拍手喝采とはいかないような気がしております。
叫はちとこれまでの縮小再生産感がありすぎかなと。
ただ、葉月幽霊の力(?)に関しては、あれは一種の地霊と考えるのがよいのかなと思っています。
人知れず殺されていった彼女の思念と、作るでもなく壊すでもなく変化していく土地の怨念とでもいうべきものがとぐろを巻いて実体化してしまった、そんなキャラクターだと解釈しました。
Posted by voho at 2008年01月08日 13:27
>vohoサマ ハンドル変更了解しました。
〈 アカルイミライ 〉なんて現実に進行中の「ボディスナッチャー」型侵略ホラーだと思うのです。ラストのあやつらに社会を乗っ取られるなんて、リアルに恐い。
それなのに清さんは、なぜ古色蒼然たるホラーを取りつづけなければならないのかと不思議に思います。
Posted by 森と海 at 2008年01月08日 22:23
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。