2005年11月13日

**〈 恐喝こそわが人生 〉で終わってしまっては、**

 なんとも悔しいし、寂しいじゃないの、ねえ!

 最近は、邦画の古いヤツばかりピックアップしておりますです”森と海”でございます。 しかしながら名画座の支配人ではございませんことを、ここで宣言しておきます(笑。

 今回は、深作欣二1968年監督作〈 恐喝こそわが人生 〉であります。〈仁義なき戦い 〉の5年前、〈 ガンマ3号 宇宙大作戦〉 と同じ年に製作されました。って、〈 ガンマ3号〜 〉は何も関係ありませんがな。

 

 

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  ピカレスクロマンならぬ、小悪党痛快ロマンのフリをした本作、出演は上図左から、 室田日出男(ピラニア軍団)・松方弘樹(若ーっ)・佐藤友美(キャワイイ!初めて見たのは金10ドラマだった)・城アキラ (一目でジョー山中と分かる)の4人が、”カツアゲ屋”四葉会の面々。チンピラの彼らが、最初の小さなユスリに味をしめ、 段々のし上がっていき、ついには日本の黒の本家本元”政治家”を的にかけるというストーリー。その相手の政界のフィクサーには、丹波哲郎 (霊界広報担当)が憎々しく重石となっていますぞ。

 先ほど、〈仁義なき戦い 〉の5年前と申しましたが、深作氏の編集にはその後の〈 仁義〜 〉 に続くようなものも見受けられます。冒頭の「モノクロのスチルに松方自身のモノローグを被せる回想シーン」という手口、 ナレーションが鈴木瑞穂に代われば、まんま〈 仁義〜 〉です。ただ、こっちの方がその部分が長い、かつ、しつこい。また、 スチルがカラーに変わり動画にスイッチまでします。ともかく、しつこい。せっかくのテンポが台無し。バシャ・ バシャとスライドが切り替わるかのようなテンポのいい〈 仁義〜 〉当たりとは、比べ物になりません。深作さんの本領発揮 (よくいう細かいカット割によるスピード感)には、まだ数年の時が必要だったのかと。

 さて、ネタバレしないとなんにも書けないこまった作品なのです、ボク的には。以下バレます。

 小悪党痛快ロマンのフリをした本作と書いた通り、 前半の四葉会がカツアゲ稼業でのし上がっていく部分は、正に”小悪党痛快ロマン”なのです。チンピラ風情が、 度胸と才覚のみで金をせしめていく様は、「イケ、イケ!」と応援するほどシンパシーさえ感じます。「殺しはしない。俺たちはカツアゲ屋だ!」 の台詞でも分かる通り、所詮は小銭(とはいっても、結構優雅な小銭持ち)を掴んだ小悪党です。ピカレスクほどまでには、 とてもとても届かない。後半からは、政界の黒幕 奥中(丹波さま)との対決になりますが、殺しもやれない彼らに大丈夫か?と思っている矢先、 先ずはゼロ戦(城)が殺され、ビビッたセキ(室田)が一抜け。4人のうち2人が抜け、残るは村木(松方)とお時(佐藤)のみ。 展開としてはようござんす。なにがいいって、他の仲間に気兼ねなく乳クリあえますがな。ってそうじゃない、 2人が一緒に行動するから場面が絞られる。フィクサー奥中に対して小悪党2人が立ち向かうには、小回りを効かせるしかないからね。 4人も居てはこんがらがる。しかし、そんな甘いもんじゃぁないのではという心配はずっと続く。やがて、ゆすりの金の受け取りに赴いた村木は、 奥中の放ったヒットマン(若き日の川津祐介)の凶刃で、路上に崩れ落ちるのであった。ベンベン。心配的中、やはり巨悪に対抗するには、 殺しも辞さじというような鉄の冷たい心がないとダメなのよ。 分かりやすくいえば松田優作が村川透作品中でなんども演じてきた役ぐらいの冷徹さがなくちゃ。

 深作監督って、下っ端が巨大なものに立ち向かって倒れたり、 下っ端が巨大なものにいいようにやられてホゾを噛んだりするような作品を数多く残しているが、それは何なのか? 1930年生まれの深作氏は終戦の年、15歳。戦場には行ってないようだ。戦争体験が色濃く残るというようなありふれた評はやめとこう。 戦時中に兵隊として力を行使することより、本土爆撃から必死で逃げ回った体験が出ているのではないのかな? 大きいものに蹂躙されまくった力なき小さなものとしての体験。それが、小さきものに対しての愛情と、 所詮はかなわないという諦念に現れているのではないかと。ただし凄かったのは、たとえ国会で批判されようとその姿勢を崩さなかったこと。 暴力的であろうとも、小さきものの大きなものへの抵抗をガンとして譲らず、フィルムに収めたのだった。

posted by 森と海 at 23:15 | Comment(3) | TrackBack(0) | Movie(邦)
この記事へのコメント
深作さんの作風って確かにそういうとこある。

でおいらは『暴走パニック 大激突』あたりが結構勘所に残っててあれほどスピード感溢れたバイオレンスムービーは始めての体験だった。

もちろん「仁義なき」とかも凄いんだけど。
Posted by tonbori at 2005年11月15日 01:13
>本土爆撃から必死で逃げ回った体験が出ているのではないのかな?1
どうだろうなあ。その原体験はバイオレンスの迫力の方には感じるけど。それ以上にその世代のアティチュードとしては、戦後のロマンチックな左翼観の影響が強いと思う。基本的に「反体制」であって、「反体制側」=ひ弱で小さい、「体制」=でかいという信仰というか。
それが悪いというておるのではなく、組合活動にしても戦後の一時期ってのは相当暴力的側面もあったしねってことで。何せ相手はGHQ。
Posted by acoyo at 2005年11月15日 21:59
>tonbori堂サマ
〈 暴走パニック 大激突 〉をちょこっとだけGoogleったら、「あら、室田さんはここでもセキなのね」って発見。よくよく見ると両方の脚本に神波史男氏が関わってる。好きな姓なのね。
〈 仁義〜 〉は凄いよりなにより、コメディとしても秀逸だと思っていたりします(笑。
>acoサマ
まあ、思っただけなんで、裏打ちはまったくないのですが・・・。真相は同時代に生きた人にしか分かるまいて。〈 君が若者なら 〉に限ってはモロそう思う。
Posted by 森と海 at 2005年11月15日 22:19
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